君のその手を

□18章:幸せへの布石。
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『…何年か後には俺は四国に戻るコトになると思う。その時には一緒にオマエを連れて帰りたい』



『…ハッキリ言うとだな…、来年にはオマエを俺の籍に入れたいと思ってる』



『だから“家”は一つでいい。



…ンじゃないかって――』











「えっ…?」






今、なんて――?

『籍に入れたい』?





…“入籍”?


それって…“結婚” …デスヨネ?







元親さんを見詰めたまま視線は固定。

…だって“同棲”の提案だけだとばかり思っていたのに、更に“続き”があった。


あまりにも想定外だったコトと衝撃的なセリフに身体が震え出してきた。







「…渚…イキナリでビックリしたよな…?」


「…スイマセン、何か…、何か、上手く言葉が出てこなくて――」


「…だよな。まぁ考える時間っつ――」
「いえ、直ぐに“お返事”させて下さい――」」





「私はずっと元親さんの側に居たいです。…だから、よろしくお願いします――。」








なんて言おうかと言葉を考える前にもう“答え”は決まってた――

だから考える時間なんて必要なくて――




だって、私が夢に描く“未来のビジョン”にはいつも貴方がいる――


そしていつか“そんな日”がくればいいと心の隅で思ってた――













「あ゛ー…、メッチャ緊張した…っ!!初オペの時よっか緊張したぜぇぇ…!!ま、断られるとは思ってねぇけどなっ!!」




私が即答で返事を返した途端、盛大な安堵の溜め息を吐いた元親さん。


すっかり湯気が消えてしまった湯呑みをガッと手に持ち一気にお茶を飲み干したその姿は“いつもの”元親さんだ。




「ぷっ…!!」


「あ?なに吹き出してんだ?」


「…だって、さっきの元親さん可笑しかった…!!おどおどしながら指クルクルしたりしてっ!!フフフっ!!」

「なっ…!!してねぇしっ!!」


「してましたー。こうやって“クルクル〜”って。」


「…っ!!」





少し大袈裟に真似して見せると元親さんは赤くなった顔を隠そうとそっぽを向いて拗ねてしまう。


でもその仕草もとっても可愛く思えてしまい私はまた笑ってしまった。





「…笑ってんじゃねぇよ。見んな。」


「いーえ。だって元親さんのそんな“顔”を見れるのって私だけですから。だからずっと見てたいです。」




「…ったく、オマエにゃ敵わねぇよ――。」









もっと



もっと



側に近付こう――



ずっと



ずっと



一緒にいよう――




帰る場所は“一つ”だけでいい――




そしてこの幸せをいつも感じていられるように――





思い描く未来が“夢”で終わらぬように、布石を一枚一枚しっかり敷いていく――









“今日”という日はその布石の“一枚”――。
















オマケ↓





「…渚、正月過ぎたらさ、3日間くれぇ休み取って、オマエの実家に行こうと思ってっから――」


「…それなら元親さんの方にも行かないと――」


「あー…アッチは後でいい。俺のお袋とは電話だけで仲良くなってたじゃねぇか。まずは渚のほうへの挨拶が先決。」


「うー、でも…ちゃんとお会いして挨拶くらいはしときたいです…だって『遊びに来なさい』って言ってくれたし…」


「あー…でもなぁ…正月以降はまとまった休み取れっか微妙だぞ…。飛行機で行きゃ早ぇが…」

「取りましょう。叔父さんには私から言っときますから。」



「(…やっぱ渚って強ぇ。) …是非ヨロシク。多分俺が頼むより渚が言ったほうが休みをドーンとくれそうだしな…。」









∽∽アトガキ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ 『一緒に住もう』と言ったけど、勢い余ってプロポーズしちゃったお話になりました(^_^;)


↓よろしかったらお願いします。




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