君のその手を

□15章:触れるだけで伝わる“言葉”。
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ピピッと鳴った電子音。





〜“39.6℃”〜





…嘘だろ。

…コレ、壊れてんじゃねぇか?

…熱いにゃ熱いがこれ程上がってんなんて――



…これじゃあ身体が言うこと利かねぇのも納得だ…――。








「熱、測りました?」


「あー…渚コレ壊れてねぇよな?」



俺が病院から持ってきた100mlの抗生剤が入った点滴にルートをセットして寝室に入ってきた渚。



「え?その体温計買ったばかりですよ―― ぇ゛、ちょっと39.6℃って!?」



手渡した体温計を見た途端、渚の顔が険しくなった。


…で確認すべくまた俺の額を触ったのだが、最初に触った時とは違ってビタンっと音がするくらい勢いがよかった。




「大変っ…体温計は壊れてません、その数値で合ってると思います。あー…ちょっと待っててください、点滴刺す前に頭冷やすの持って来ますね。今は寒気は収まってますよね?」


「あー…まぁ熱いな。」





程なく、アイス枕にタオルを巻いて部屋に戻ってきた渚。


起き上がろうとするが、『寝てろ』と言わんばかりに制止され、寝たまんまの俺の頭を抱えるように持ち上げて頭の下に入れてくれた。




…俺スッゲェ病人っぽい――(まぁ今はカンペキに病人の部類だが)。




ヘンな気恥ずかしさはあるが、いかんせん身体がダルくて思うように動かないのと熱が高いせいか視界もボンヤリしてる。




「冷えすぎるようなら調節しますから言ってくださいね。」


「ん…とりあえず丁度いい。」


「んじゃ点滴始めますか。」




そう言って渚は点滴とS字フックを組み合わせてカーテンレールに引っ掛けた。






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