君のその手を

□12章:愛の痕。
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あの“見合いの日”から1週間…1ヶ月…と経った――。





季節も春から夏へと移り変わろうとしている。







本格的なバイクシーズンの到来により、渚は相変わらず暇さえあればバイクに乗ってどっかに行ってるようで、デジカメで撮った景色を見せられたり、お土産を一緒に食べた。





一緒に行きたいのは山々なのだが、休日が合いづらいというのは最初から承知していたコトだからしょうがない。


でも俺が仕事を終えて電話をかけると必ず家には帰ってきていて夕飯を作って待っていてくれる良くできた彼女だ。


















「渚、ただいま。」



「あ、先生お帰りなさいー。…うわっ、ゎゎ…」



「…いい加減慣れろよ…。」






普段の言葉遣いは敬語のままで殆ど変わらない。




だけどいつからか、


『お邪魔します』
『いらっしゃい』


という意味合いの言葉ではなくて、





『ただいま』
『お帰りなさい』



になってた。










早く渚に触れたくて、掴まえたら掴まえたで顔を赤くして逃げようとするのも相変わらず。






それが“嫌だから”っつーのではなくて、未だに“恥ずかしい”んだというのは呆れながらも分かってたんだが、逆にその渚の“箍”を外したいが為に“欲”を駆られる。





普段物静かな彼女がワタワタと慌てる姿は面白くてしょうがない。





だけど、俺しか知らない渚の“スイッチ”を入れればすんなりと腕の中に落ちてくるようになった。





そしてガラリと変わるモンだから止められない――。













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