君のその手を

□12章:愛の痕。
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「お、俺に、つっ、付けんのか?」





やべ。柄にもなく声が上ずってしまった。


しかも噛んだ。





まさか渚から『付けたい』なんて言われるとは思ってもみなかった。





固まった俺を見上げて、何を思ったのか渚はショボンとする。





「ダメ…ですか?」





ダメなワケあるか!!


どうせなら目立つトコに付けてほしいくらいだ。






「…好きなトコに付けろ。何ヵ所だってイイ。俺は気にしねぇから。」




そう言って渚の身体を抱き起こして、胡座をかいた足の上に横抱きにした。







渚は『んー』と暫し“場所”を思案した後に鎖骨の下の辺りを指で撫でながら『ココに付けてもイイですか?』と聞いてきた。





「ああ、いいぜ。」




まぁ渚がソコがイイっつーんだから文句は無い。


見えるトコじゃねぇけど。






チュウ…




くっ…くすぐってぇ…!!


音だけしてまるっきり痛みなどなく、逆に笑っちまった。






「オイオイ…そんなんじゃ付かねぇんじゃねぇか?」






『もっとキツく吸わねぇと。これより強くだ。』



そう言って、肩に置かれていた渚の前腕を掴んでの実演指導。




唇を当てて痛がらない程度に内側を吸ってやれば、白い柔肌にうっすらと浮かぶ薄紅の痕。





「ん。分かった。痛かったら言ってくださいね?」





頷きながらそう言って、また柔らかい唇を俺の肌に押し付ける。





おっ、今度はイイんじゃね!?




チリッっとした痛みを感じるが、“痛い”っつーほどじゃなかった。




でも“手応え”はあった。






「どうだ…?付いたか?」


「…付いた。…なんか嬉しいっていうの分かったかも…。」






『ね!?』と照れたように微笑んで俺を見上げる渚。






「だろ…?もっと付けてもイイぞ。っつーか、やっぱ俺も渚に付けてぇな…。」



「先生…私…“同じトコ”がイイ…。」













『先生がくれたモノだから』





『私にだけ見えるトコロがイイ。』







ソレを聞いて、彼女が俺に付けた場所の理由が分かった気がした。




“首筋”や“背中”は他人には丸見えでも、自分では鏡でも見ない限りは見えない。




だけど“ココ”なら白衣の襟のラインからは隠れるし、少し摘まんで浮かせれば自分にだけは見える位置。


もうちょい下の位置だったら下着に隠れてしまうかもしれない。





ある意味、絶妙な位置だ。








“付けた場所”が“付けて欲しい場所”ってワケか――。









“痕”を見せつけるよりも、その“痕”さえも自分だけのモノにしておきたいと言った渚の言葉はやっぱ“嬉しい”以外に何もない。







チラッと見えた彼女の“独占欲”に思わずニヤリとしてしまった。








ならば…、とまた渚をゆっくり押し倒して身体の上に覆い被さる。






「じゃあ“同じトコ”な…。」






そして渚が俺に残した“痕”と同じ場所に唇を落とした――。






∽∽アトガキ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽

なんか、こういうシチュって表現難しいですね。←反省。

何となくDr元親さんのイメージとしてはこんなかな≠チてカンジで書いてみたのですが…――


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