君のその手を
□14章:ほんのちょっと、
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『チーン』と音が静かに響いて扉が開いた。
乗り込んですぐまた悩む。
えーっと地下1階1階…と、うーん厳しい…。
当然ながら“地下1階”のボタンは微妙な位置だった。
さっきみたいに“上”に行くか“下”に行くかだけのボタンじゃないうえにズラリと数も多ければ目的の“地下1階”は一番下の列。
さっきの“作戦”と同じようにと屈んで肘を出した。 …が、
もー…2階も一緒に押しちゃったじゃん…。
良いことばかりは続かない。(些細だけど)
そして暫しの浮遊感に身を任せた。
夕飯何食べようかなー…
なんて考えながらランプの点灯が5…4…と下がっていくのをボーッと見上げていた。
『チーン』
あれ!?3階?
この時間帯だから直通で下(間違って押した2階はしょうがないとして)まで行けると思ってたけど、途中で止まったということは当然ながら乗る人がいるという事だ。
3階ボタンは押していない。
そして、扉が開くと同時にエレベーターのど真ん中を陣取っていた身体を空間の端に避けて、抱えてたレントゲン袋も乗り込む時の邪魔にならないようにとグッと身に寄せて抱え直した。
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