君のその手を

□11章:俺の彼女を紹介します。
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「…そういえばこの前、喜多ンとこで飯食った女とはどうなったんだよ?喜多が気にしてたぜ?『会ったら聞いといてくれ』ってよ。」



「あー、まぁお陰様っつーか“彼女”になった。」



「ふーん。良かったじゃねぇか。…で、どんな女なんだ?なんか喜多がえらく気に入ってたから俺も気になってな…。」






『どんなヤツ』って言われてもなぁ…、と暫し考え込み、思い浮かべた。




“一言”じゃ言い表せない。







“バカ”が付くほど正直で、真っ直ぐで――


“超”が付くほど照れ屋で――


だけど“走り”じゃ絶対に勝てない相手――



でも、“求めてくる”時だけは『元親』と呼んでくれるそんなヤツ。



思い浮かべる彼女はいつも優しい顔で笑っている――。





一纏めにするとコレしかねぇな。






「まぁ…可愛くて、可愛くて、可愛い…。」










「Ha……?…ってアチっ!!」




くわえてた煙草を手の甲に落とすほど意外だったのか?と思うくらい、政宗は呆気に取られた顔をしやがった。





「…なんだよ…。」



「Hum…どうりでそんな“にやけたツラ”してるワケか…。」



「はぁ!?」



「…まぁイイんじゃね?長いこと“女”作ってなかったもんな〜。色々と尽くしてもらえよ。」



「…渚はそんなんじゃねぇよ…。俺が…渚に尽くしてぇんだ…。」



「ブッ!!おま…、本気かよ!?」


「きたね!!酒吹くな!!」





何がそんなに意外なんだよ!?



イイじゃねぇか!!









「…なぁ“彼女”呼べ。そこまで元親を惚れさせたヤツっつーのを見てみてぇ。」


「はぁ!?ココにか!?…あー…まだアイツ“仕事”してんし…。」







時計を見るがまだ12時過ぎ。




2日連続の準夜勤で今日が2日目。




渚に会っていないのはソレが理由だった。







まぁ『夜空けとけ、飲みに行こうぜ』と政宗から連絡があったのが昼休みだったから、『準夜が終わったら帰りに俺を拾ってくれ』とメールをしておいたから迎えに来るんだが…目の前の“この男”には内心会わせたくなかった。




猿以上に手が早いというのは、長年の付き合いで嫌と言うほど分かっている。






「Ha?こんな時間に仕事してんなんて“彼女”はキャバ嬢かなんかなのか?」



「あ゙!?違うって!!ナースだナース!!」



「Oh〜!!エロいな〜!!職場恋愛かよ!?」



「だからソレも違ぇって!!」






目の前の男の目の奥がギラリと光ったのを俺は見逃さなかった――。




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