君のその手を
□8章:“お仕置き”か“ご褒美”か。
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似てないんだけど…
どっか似てる――。
Sっぽいトコ以外も…
でも…カッコイイなぁ…。
「…ん?どうした?」
はっ…!! 見とれてた…!!
ジーっと先生の横顔を見ていたのを気付かれたらしく、運転しながらチラリと私に目線を寄越した先生。
「い、いえ!!なんでもナイです!!」
運転中なのだから、と気付かれないと思っていたのに、私の視線はそれほど見入っていたというコトだろうか。
「ハハ〜ン、見とれてたな?」
「いえ!! …っじゃなくて……はい…。」
ズバリ言い当てられたものの、意地になって否定すればそれはそれで失礼だからと諦めた。
「だろうな。」
「…その自信はどっからくるんですか?」
まぁ先生はモテるだろうから自信もあるだろうけどっ!!
謙遜する素振りもなく堂々とされると、『私が隣に居てイイんだろうか』とこっちの方が自信を無くしてしまう。
「…は?オマエが『好き』って言ってくれたからに決まってんだろ。俺も見とれるくらい渚を『好き』だからな。」
どわ〜…
「そ…そうですか…。」
先生の言葉はストレート過ぎるから返答に困ってしまう。
甘〜い!!
甘すぎる〜!!
ダメだ…キュンキュンし過ぎて死にそう…。
もう本当に心臓もたないんですけど…!!
何か言われる度に心臓が跳ねたり、早鐘を打つ。
ココは大人しくしてたほうが身の為だ…。
心室細動引き起こして半兵衛のトコに逝くようなコトがあったら…
『まったく…キミは何をしてるんだい…直ちに帰りたまえ』
…なーんて言われそう…。
赤くなったり青ざめてみたりと色んな思考が飛び交っていた為、私の頭はパンク寸前で、先生のマンションに着くまでの道程の景色さえも眺めてる余裕などなかった。
あ…着いた。
私のマンションより一周りくらい大きくて高いマンション。
見るからに外装から既にお高いマンションっていう雰囲気がある。
「…着いたぜ。一人で降りれるか?靴落とすなよ?何ならまた手ぇ貸すか?」
うわー…意地悪っぽいトコなんてソックリなんですけど…
いくらなんでも私でも分かりますよ。
過保護なんかじゃなくって明らかにからかっているって。
だってその証拠に先生の顔がニヤニヤしているから。
「…降りれます。」
ムゥっと膨れた私を先生はケラケラと笑いながら見ていた。
…何か悔しいんですケド。
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