君のその手を
□4章:運命への導き。
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次の日――
科長に言われていた通りの時間にホテルのロビーで待ち合わせ。
堅苦しいのは嫌いだが、一応見合いなんだから、とスーツはちゃんと着てきた。
「おう。元親、ちゃんと来たな。」
俺が到着するより早く、ソファーにどっかり座ってコーヒー片手に新聞を読んでいた科長。
うん。白衣を来てないとやっぱりタダのオジサンにしか見えないし、ネクタイはかろうじて締めてるような感じで既に緩い。
「おはようございます、科長。…アレ?奥さんは?一緒じゃないんスか?」
「あぁ…ちょっと…姪っ子が駄々を捏ねてしまってな…。」
「はぁ?駄々って…」
「今説得して着替えさせてるからもう少し時間くれるか?その間、部屋で茶でも飲んでいよう。」
「はぁ…、まぁ俺は構わねぇスけど…。」
ん…?
駄々を捏ねてるってコトは相手もこの見合いは望んでねぇってコトだよな?
そのほうが都合がイイじゃねぇか。
断りやすいし。
そして俺と科長はホテルの従業員に見合いの席へと案内され、駄々を捏ねてる相手を待つことになった――。
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