君のその手を
□3章:響くのは誰の声?
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それからというもの、時間が空いた時には渚にメールしたりして飲みに誘ったり、仕事の終わった後に一緒にバイクで流したりと関わりを増やしていった。
俺は直ぐにでも渚が欲しいという思いはあったが、もうイイ歳だし疲れる恋愛はしたくないという気持ちもある。
若い頃は目の前の誘惑にはスグがっついていた。
年上も年下も関係なく。
見かけだけに惹かれてた。
確かに渚に初めて会った時も惹かれた。
でも顔が可愛いと思った以上に、渚自身そのものに衝撃のようなモノを感じた。
キッと強い視線で俺を見上げたあの瞳――。
その後に見せた屈託のない笑顔――。
そして想像以上の特技というか趣味――。
惹かれずにはいられなかった。
でも――
慣れが出てくると人は少しずつ本性を現してくる。
今まで付き合ったヤツはそうだった。
だから心のどっかで一線を引いて、渚のコトを知ろうとしてた。
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