君のその手を
□2章:大人でも“恋”をします。
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次の日――。
朝出勤するともう渚のバイクがいつもの定位置に停められていた。
早ぇな…。
いつもより早く起きて家を出たのに、もう時既に遅し――。
いったい何時に来てんだよ…。
聞いときゃ良かった…。
運良くココで会えたなら、明るい場所で渚の顔が見れると思ってきたのに見事な空振り。
やっぱり夜しか会えねぇか…。
渚が言っていた峠へ行けば確実会えると思うのだが、多分また暗いだろう。
昼食に誘うという手を考えたが、『ここ最近忙しいから昼食は10分くらいで済ませてました。』と渚が言っていたのを思いだした。
しかも誘うにしても携帯の番号やメルアドを聞くのをすっかり忘れていたという失態に気付いたのも昨夜家に着いてから。
わざわざ小児病棟にまで行って誘うほどのコトでもないし、渚だって驚いてしまうハズだ。それに確実に人目につく。
それに昨日の今日だしな。
ヘンに警戒されたら困るし。
まぁ昨日普通に話すコトまでは出来たが、ホントに最後の最後まで渚の態度の素っ気なさは払拭できなかった。
『眠いから帰らせてください』と目の前で大きなあくびされたらそれ以上引き留めれなかった。
…だけど、彼女を見送ったその直後から
また会いたい
もっと彼女のコトが知りたい
っていう想いがどんどん勝手に沸き上がってた――。
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