君のその手を

□2章:大人でも“恋”をします。
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「先生ーこんばんはー!!ホントに来たんですね。」



頂上まで行って戻ってきた渚が俺と猿飛が居た道路脇の駐車スペースにやってきた。


「よう。調子はどうだ?」

「まずまずですね。」


渚は昨日とは違うフルフェイスのメットを外しながら笑った。

格好だって、今日は黒いツナギをキッチリ着ていて身体のラインがバッチリ分かるが、ソレは華奢で小柄な体型を強調している。

さっきの走りをしてたヤツが本当にコイツかと疑いたくなるくらい。

俺達の周りにいた野次馬共もさっきのバイクのライダーの正体に口をポカンと開けたままざわめいている。



「先生?今日はお友達と来たんですか?」

「あぁコイツは…「俺様、君と同じ職場で薬剤師やってる猿飛って言います、ヨロシク渚ちゃん♪」」

「え…あ…ヨロシクお願いします、猿飛先生。」



紹介しようとしたのに、俺の話を遮って握手をしながらまじまじと渚を見る猿飛。

なんかそれだけでもムカついてくる。

いつまで触ってんだ!!いい加減手ェ離せ天然タラシめっ!!



「ねぇキミさぁ、可愛いね。うん。スゴク可愛い。ギャップが何とも言えないよ。俺様何で君を見落としてたんだろ。院内で会った事なかったかな?」

「「は?」」

「コラァ!!猿!!渚を口説くな!!」



イキナリ何を言い出すかと思えばこの猿…!!

油断も隙もねぇヤツだぜまったく…!!




「それより渚、よく俺が居るって分かったな。」

「えぇ。そこ曲がった時に分かりました。だって先生目立ちますもん。」


うん…やっぱコイツ並みじゃねぇ…あのスピードの中、周りを見る余裕があるとは。


でも…俺に気付いてくれてかなり嬉しい――


ヤベ…俺…ニヤけてしまう…。




「あの…佐助先生もバイカーですか?」

「俺様?ううん。俺様は車しか免許持ってないんだよ。今日はチカ先生に拉致られて見に来ただけ〜。」

「そうですか…。バイクも楽しいですよ?良かったら乗ってみませんか?私の後ろに。」

「「は?」」



待て待て!!渚、いきなり何を言い出すんだ!?シロートには無理だって!!しかも後ろだと…!?あのバイクじゃ……




ん…待てよ…




「猿…行ってこいよ…きっと楽しいぜ…!?バイクの魅力ってのを少し教えてもらえ。」

「え?いいの?んじゃ渚ちゃん、安全運転でヨロシク〜♪」

「はい!!行きましょう!!」




クククっ…渚の後ろに乗せるのは少々不服だが…猿…精々楽しんで来やがれ…!!






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