対極(だからこそ、)

□02.
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土方さんの彼女?


勿論知ってやすよ。局中法度に入ってやがるし、なんて言ったって真選組副長の彼女ですぜ?局内にあの人を知らねえなんて輩、百の確率で居やせんよ。これは断言出来ますぜ、違ってたら切腹を披露してやりまさァ。

…へえ、先に山崎の話を聞いてたんですかィ。で、残念な美人と言ったと。まァ、あながち間違いじゃねェが…、俺的にゃ『バイオレンス』って言葉が一番ハマると思いますぜ。
どうバイオレンスかっつーと…、俺、自分で言うのも何ですがサドのはずなんですよねィ。土方さんからサディスティック星の王子って言われるほどの。初対面の女でも、そうですねェ…十分ありゃ隷属させることが出来るんでさァ。なのに、あの人だけは無理で。その上この俺を、顎で使いやがるんですぜ。…おっ、流石先に山崎から話を聞いてるだけはある。そうそう、この袋にゃあの人から頼まれたモンが入ってやす。

いやね、俺は今見回り最中なんですが。三十分前にバッタリ、そりゃあもう偶然あの人と出くわしちまいまして。俺を見つけた途端ニッコリと笑みを貼り付けたら一言、



「んまい棒買ってきて!」



あたしそこの公園で待ってるからー、と言うだけ言えば逃走。俺の返事なんて聞きゃしやせん。ため息をひとつ吐いてから、見回りついでなら…と思って買ってやった訳です。これは決してサボりじゃありやせん、土方さんに何か言われたらあの人に証言を頼みまさァ。事実には代わりねーし、土方さんはあの人にだけ、めっぽう弱いですからねィ。

え、あの人を斬ろうと思わないかって?

思ったこともありやしたよ、土方さんの気持ちをゲット出来たからって調子乗るんじゃねェとか、真選組に関わるなとか…色々な気持ちが交差してねィ。ま、思っただけじゃなく、実際斬りかかったんですが。……糸も簡単に避けやがったんですよ、あの人ァ。もう認める以外の道なんて無いじゃねーか。
今じゃ局内で最強じゃないんですかィ?こう調べられてるって事ァ、知名度も上がってんだし。……凄ェな。

一言であの人のことを表せ?一言っつったらそりゃ勿論、コレだァ。




バイオレンスな女





「そーうごー!」



おっと、呼ばれちまったんで俺はこの辺で。
…ああそうそう、あの人のことはあんまり深く調べない方が良いですぜ。これは、忠告。戻れなくなっても、俺は知りやせんよ。





11.01.30



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