対極(だからこそ、)

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副長の彼女を知ってるか?


知らないわけないでしょう、隊服を見てもらえば分かる通り、俺は真選組の一員。知らない、なんて口走った日には切腹ですよ!しかもぶっちゃけた所、今パシられ帰りなんです。アハハハハ、なんで屯所に一旦帰っちゃったんだろ…

パシられ内容?そんなの聞いて得になることないだろうけどなぁ。まあいいですよ、損もないですし。教えてあげます。え、経緯から?分かりました分かりました、嘘偽りなく最初から話しますよ。


極秘の調査が一段落したんで、屯所に一旦帰ったんです。局長か副長に途中報告って感じで、報告しようと思って。
最初に局長の部屋に行ったんですけど、何かの会議かなんかで不在。そうしたら向かうは副長の部屋、少し重い足取りで縁側を通っていたら……目が合ったんです。

真選組内は女子禁制っていうのは、ご存じですよね?まずは驚きました、目が合った人物は女性だったから。遅れて活動を始めた思考で思い出されたのは、鬼の異名を持つあの人。ハッ、とした時には既に遅し、ニッコリと笑んだ彼女は俺に向かって一言。



「あたし、アイス食べたいなぁ」



…まあ、これで察しがついたでしょうが、この袋にはアイスが入ってるんです。銘柄ですか?破亜限堕津ですよ、彼女の一番好きなアイス。コレじゃないと怒るくせに、コレを買っていくと「流石ザッキー!」って言ってくれるからわざわざ探しちゃうんですよねぇ…


……え?パシられてるのに、あんまり嫌そうには見えないって?
…まあ、あんまり大きな声じゃ言えないんですけど…彼女、残念な部分を除いては素敵な女性ですから。まだ副長も帰ってないだろうし、彼女と二人っきりでこのアイスを食べれるならいいかなぁ、なんて。あ、コレ絶対副長に言わないでくださいよ!

っと、屯所についちゃいましたね。じゃあ、俺はここで失礼します。
…まだ何か質問ですか?俺、結構急いでるんですけど…アイスが溶けると元も子もな……、え、彼女を一言で表すとどんな人か?うーん、そうだなぁ…




若干残念な美人





って所ですかね、俺から見たら。



「あ、ザッキー遅い!!」
「山崎、ご苦労だったな」



…俺の努力って…





10.08.01



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