HIKAGE SERIES
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そして、次の日…
本日は初出勤日!
今日からお世話になる研究所…というより会社と言った方が正しいのだが…アタシの職場となるわけである。
ビルの前で上の方を眺めて決意を固めていたら…
「お、お、おはようございま、ま、ます!!ファーシムさん!!」
『おはようございます…』
アタシ以上に緊張してるけどこの人は本当に秘書兼助手が務まるのでしょうか?
「それでは行きますか、ファーシムさん」
『名前でいいですよ…父とかぶりますから』
「あっ、はい!」
どう見たってこの人がアタシより年上になんてみえないんだけどな…
アタシたちは建物なかに入り、ロビーで所長であるセントール氏を待った。しばらくして
「待たせたね!」
『おはようございます、セントール社長』
「いいよ、アリス君、前のようにサジタ所長で」
『ですが、あの時とは場所も立場も…』
「いいの、君が気にすることじゃないよ!こんな場所での立ち話もこれぐらいで、私の部屋の方で今後の詳しいことを話そう」
『はい』
アタシたちはサジタ所長の案内のもと館内を見て回り、最後に最上階にある所長の部屋へと向かった。
この研究所は“マグルと共存”をもっとうにしているため、マグルの街のなかに高層ビルを構えてる。
この研究所で働くものもマグルと魔法使いどちらもいる。
基本は各々別れて仕事をしているが、一部は共に仕事をしたりする。その一部にアタシもこれからなるわけで…父の反対はものすごいものだった。
「以上がこの研究所の説明だね。他に聞きたいことは?」
『個人の研究室はいただけるのでしょうか?』
「ああ、君用のは用意してある…これからそこに案内しよう…その前に…君は?」
所長はずっと後ろをついて歩いてたクラウドさんにやっと目を向けた。
「お久しぶりです。社長。今日付でアリスさんの秘書兼助手をさせていただくことになりました。」
「これからは君もまた出入りするようになるのかい?」
「はい、お世話になります」
「そんなに硬くなるな!君はここのことをよく知ってるのだから!よろしく頼むよ」
所長の顔は笑ってた…でも、目だけは笑ってなかったのに、アタシは疑問を抱いた。
「それでは下に…」
アタシ達は所長に連れられエレベーターに乗り込んだ。アタシの部屋は最上階から3つ下りた所にあるらしい。
すると、一つ下の階でエレベーターが止まった。
扉が開くと、小柄で可愛らしい女性が立っていた。
所長に気づいた女性は軽い会釈をしてから乗り込んできた。
「出掛けるのか?」
所長が声をかけた。
「はい、クライアントと打ち合わせに。」
「今日だろ、彼と会う日?」
「はい、終わり次第、スネイプさんと食事に」
あたしはハッとした。こんなとこで彼の名前を聞くなんてと。でも、別のスネイプかもしれない…気になってしょうがなかった。
「それで社長?後ろの方は?」
女性はあたしを見た。
「アリス・ファーシム君んだ。名前と研究はもちろん知ってるな」
「ええ、存じておりますは。初めまして。べガ・セントールです。副社長兼新薬開発部部長です。」
『初めまして。アリス・ファーシムです。よろしくお願いします。』
「あー、因みにペガが君の直々の上司になるからね」
『はい!よろしくお願いします、セントールさん』
「べガでいいですわ」
『あっ、はい』
「それでそちらは?」
ベガさんはあたしの横に立つクラウドさんをみた。
「クラウドです。アリスさんの秘書兼助手をします」
「では、あなたともまた、お仕事することになるのね?」
「はい、お世話になります」
「こちらこそよろしく」
まただ。ベガさんの顔は笑ってたが、目だけは怒りに満ちたような悲しそうな目をしていた。
あたしたちは降りる階に付き、ベガさんと別れたが、スネイプの名だけがとても気になった。
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