HIKAGE SERIES
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シャワーを浴びおえたアタシは、1週間ぶりに外の空気を吸いに出た。外の空気はとても新鮮だった。夏という暑さもあったが…
『あつ…』
せっかく、シャワーを浴びたのにもう、汗でべたついてきた。そんなことを思いながら、アタシはアタシ専用の場所へと向かった。
この研究所は膨大な土地を持っているため、いろんな施設が広く、そして、自分専用と名のつくものが幾つも用意されている。
アタシも自分専用の薬園を貰った。他にもいろいろと貰ってる。この研究所は研究員にとても心地のいいところであるのは確かだ。
そして、私がメインに育ててるものは、薬園一面に広がってる。
片膝をついて、それの様子を観ると、一週間手入れをしていないには、綺麗だった。
「驚いたか?水やりに肥料、温度調節やっておいたぜ」
声がした方を振り向けば、ヤツが立ってた。
『なんの気まぐれ?』
アタシは煙草に火をつけ、ヤツを見る。
「そんな怖い目つきすんなよ、サクラだよ、始めやってたのはな、でも、あいつもお前と一緒にこもるようになってからはこれなくなったみたいだったから、俺が代わりになっ」
『じゃあ、後でサクラにお礼いっとかなきゃね』
「おい!俺にもだろ!」
無視。
誰がヤツに言うもんか。
ヤツは、
この研究所で唯一の同僚。
年齢的には、三つヤツが上。
アメリカ人で、チャラい(アタシが思ってるだけ)。
見た目はイケメンと言われる部類。
でも、誰もかもイケメンに気が惹かれるわけでもない…
特にアタシみたいな変人。
「おい!」
『ん?って、近、あぅわぁ』
「おっ、おぃ、うわぁ!!」
呼びかけられて、飛ばしてた意識を戻すと目の前にヤツの顔があったせいで、アタシはなぜかバランスを崩して。さらに、アタシがバランスを崩したことによってアタシを助けようとしたヤツが共に倒れてきて…
形的に、ヤツがアタシを襲ってる図になってるわけで。
『どいてよ…』
「嫌だって言ったら」
『蹴飛ばす』
「こうしないとまた逃げるだろ」
『わかってるんでしょ』
「お前だってわかってんだろ!いい加減、返事くれよ!俺はお前が好きだ!」
『だから、アタシは…』
話を終える前にヤツが唇を近づけてきたので、とっさに横を向いた。ヤツの唇はアタシの頬に触れた。
「ちっ」
『いつまで上にいんのよ』
アタシはヤツを突き飛ばして、立ち上がった。
『何回も言うけど、アタシには思う人がいるの!』
そう言い捨てて、アタシは研究室に戻った。そのときはまだ、この光景を見られてたなんて思いもしなかった。
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