HIKAGE SERIES

□T
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地下の薄暗い教室で、静まり返った空間に羽ペンを走らせる音だけが響きわたっていた。

教卓でレポートの添削に追われる男と、生徒達が座る机の方でこちらもレポートの添削に追われる女。

2人は黙ってただ、羽ペンを走らせてた。女の方がペンを止めた。

「…」

レポートから顔を上げ、目の前に山ずみにされたレポートをみて落胆した。

「まだこんなに…」

「無駄口叩く暇があるならば、手を動かさんか!」

男の方が女を見ずに怒鳴った。

「どうして、私が2・3年生のレポートの添削をしないといけないんですか!」

「助手なら黙ってやらんか!」

「私はマダム・ポンフリーの助手であって、スネイプ先生の助手じゃあ、ありません!」

「そのマダム・ポンフリーがクウィスを貸してきたのだが?」

「…うぅ、じゃあ、せめて自動速記羽ペンの使用許可を…」

「ならん!」

「さすがに腱鞘炎に…」

「ああ、黙ってやらんか!」

「先生がいけないんですよ!2〜6年までを同時期にレポート提出させるから!」

口が荒々しく動く中、手はそれ以上に動いている2人。

また、しばし沈黙が続いてから、痺れを切らしたマリアが口を開いた。

「先生、静かすぎて怖いです」

「……」

「…アリスどうしてますかね?」

マリアはチラッと教卓をみた。

「…知らん。」

反応があったことに、マリアはニヤリとした。

「…もう、10年になるんだなぁ、会わないで…先生もですよね?」

「…いや、一度…あ」

「えっ?」

思わず添削の手を止めてスネイプを見るマリア。スネイプはしまったという顔をした。

「いつ、会ったんですか?!」

「……5年前に」

「会いに行ったんですか?」

「ああ」


こんな会話をする中も手は止めることがない2人。

「どれぐらいの期間行ってたんですか?」

「……1ヶ月」

「そんなに!酷いですよ!行くならいくで何で私には言ってくれなかったんですか!」

「何故言う必要がある!」

「こっちは半年に一回は手紙出してるんですよ!返事は無いけど!」

「私とて会いに行ったのは一回きりだ!それから、あいつから連絡は一切無いのだぞ!」

「わかりました、暇なので罰として何があったか話してください」

「…!?」




アリス…
お前は今どこにいるのだ…




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