HIKAGE SERIES
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「どうして?嘘だよね?」
「…決めたことだから」
「なんで?今ならまだ…」
「もうお前のお父さんが許してくれるわけないだろ…」
「かってすぎるよ…」
「ごめん、じゃあな…」
私の前から去って行く彼の背に向かって「なら、幸せになってやるんだからー!」と、叫んでやった。
でも、それから数年、立ち直れるわけもなく…
「はぁ…」
「またため息ですか?」
「えっ、ごめんなさい…」
仕事に身が入らないことがしょっちゅうだった…
そうあの日がくるまでは……
普段通りに仕事をこなしてれば、滅多に顔を見せない人が私のオフィスにやって来て。
「今日の昼、一緒にどうだ?」
と、だけ言って去って行った。
拒否権もなく、指定された店に向かった…そこには私を誘いに来た…そう、父と…見たことがないほどのイケメン!でも、随分とお歳を召してそうな男性がいた。
「お待たせしました」
「ああ、来たか…あーこち…」
「ルシウス・マルフォイです。お見知りおきを…それにしても、可愛らしいお嬢さんだ…彼の相手にはもったいないかな」
笑いあってる二人にたいし、私は苦笑いしかできたかった。
そして…
「お、お見合い!…ですか」
「そう、君のお父さんに頼まれてね、いい相手がいないかと。まぁ、そこにちょうど未だに独身のものを知っていてね」
「でも…」
まだ、彼のことが…
「私はいい相手だと思ってるよ、あんな奴よりな」
彼のことをあんな奴なんて…
「私が既婚の身じゃなければ。私が相手になるんだが」
父とマルフォイさんは楽しそうに談笑を始めてしまった。
お見合いなんて…
でも、いい機会なのかな。
私も年だし。
「…あの、お相手はどんな方なのでしょうか?」
恐る恐る会話の間に入ってみれば、二人はすぐにこっちをみてニコッとして…
「興味があるようだね」
「…お話は聞いてもいいかなと」
「そうかそうか、だが君には申し訳ないんだ本当はね」
「なぜですか?」
「年齢が君より10上なんだ」
年上…
「どんなお方なんですか?」
「ホグワーツで、魔法薬を教えてる教師だよ、名はセブルス・スネイプ…根暗で、魔法薬馬鹿だ」
お父さんは後を継げる人を探してるんだ…
「わかりました、お会いします」
父とマルフォイさんは嬉しそうだった。
二人の顔を見てたら、私も少し楽しみになっていた。
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