HIKAGE SERIES

□Y
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今日もいつものように薬の調合……
でも、思い通りの結果は導き出せない。



どこを変えればいいわけ



『わかんなーい!!』



と、叫んでみたけど何も起きない。
当たり前か……はぁ、仕方がない。



研究室を出て向かうは図書室…それも、禁書の棚。校長直々の許可書のお陰で堂々と入れる。


今日も許可書をヒラヒラさせながら、イライラしているマダム・ピンスの前を通り禁書の棚へ。魔法薬の本が並ぶ棚…、何冊かは父さんの書斎にもあったりする。



『もう、読むものないよなー……ん?』



こんな本あったっけ?
その本は他の分厚い本に比べて、とても薄く、ボロボロな本だ。

それを手に取り、中身を見ると、アタシにとっては貴重な資料の一つ……羽の研究の第一人者のとてつもなく馬鹿な書物だった。アタシの憧れの研究者がこんな馬鹿げたものを……



仮説はあり得ないほど無謀……
研究もあまりに酷い、
挙げ句の果てに研究結果は
……何なのこれ!!



でも、こんな考えもありかもしれない



また一歩ゴールに近づいたと思った瞬間…


「そこで何をしてる、ファーシム」



『見てわかりません?本を読んでるんですけど』



「ここがどこかおわかりかね?」



『ええ、禁書の棚ですよ』



「誰の許可を得てここにいる?」



『ホグワーツ校長、アルバス・ダンブルドア先生のです』



許可書を彼の前でヒラヒラさせた。彼は疑いの目でそれを見る。いつまでもそれを見る彼に少しドキドキしてしまった。



「……偽物では無さそうだな」



『ええ……もういいですよね』



許可書をしまい再び本を読み出せば、彼はまだ邪魔をしてきた。



「貴様の成績でここらの本は理解できんだろ」



無視。



「レッジ・ファーシムはお前の親か?」



……ム



『…はい』



シ、出来なかった。



「貴様、授業をなめてるのか」



『いえまったく』



貴方のせいだよ!!



「校長からお前からの薬草の申請は断るなと言われたがそう言うことか」



校長には頭が上がらなくなりそうだ…



「危険なものを作ってるわけではなかろうな」



『学生が作れるものなどたかが知れてると思いますが』

言い争うアタシ達が付き合う前の自分達に思え懐かしいなと考えていたら、目から一粒の涙が落ちた…。


急いで彼に分からないよう拭き取り、薬の効果がまだ効いているのか確認兼ねて話を変えてみた。



『……ホワイトのことは……どう思ってるんですか』



「どう、とは?」



『……考えればわかるでしょ』



「好いているに決まっているだろ」



『そうですか』



……薬の効果が切れるわけ無いか

でも、思った通り……この人は彼女を愛してはない。それだけで、少し笑えた。




アタシは気になる本の続きを読むため、再び本に視線を戻せば、向こうもつまらなくなったのかどこかに消えた。





縮まったと思った距離は昔とは違う…





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