HIKAGE SERIES
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『何してるの、授業は?』
廊下に出ると、彼が待ってた。
「どうせ自習にしたんだ、行ったところで面倒だ」
『ふーん、そう』
「お前もどうせ授業に出れんのだから暇だろ?」
『見てのとおり』
「なら、いいだろ」
彼はそっと手を差し出してきたので、その手をとった。どこに行くでもなく、授業中で静かな廊下を二人ならんで歩いた。
『そう言えば、二人ならんで歩くのって初めてじゃない?』
「ああ、そうかもな」
こうやって歩くと話すことないなぁ…
いつも実験とか、魔法薬に関することしか話してなかったもんなぁ…それにしてもどこ行く気…………ありゃ、いつもの場所に来てるけど。でも、今日は雨。外で、のんびりは出来ないよねと、隣を見ればこっちを見てた。
『何?』
「……アリス」
なんだこの甘い雰囲気…気持ち悪いな…
『ちょっと、変な薬でも飲みました?』
「少し黙らんか」
そう言われたので少し黙ることにした。
すると彼はポケットから小さな箱を……
「そのなんだ、我輩らしくないなどとお前は言うだろうが…出張に出たとき……これをな」
彼が小さな箱の蓋を開けるとシンプルなシルバーのペアリングが
『……つけてくれるの?』
彼はそっとアタシの左手をとるとそれをつけてくれ……そして
「卒業したら結婚しよう」
『はい』
その言葉を、今度こそは実現させたいと心のなかで誓った……
そう、別れは突然訪れるとも知らず…
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