HIKAGE SERIES

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クリスマス休暇に入りほとんどの生徒は帰宅、残った生徒の数は極僅か…

昼間から廊下を歩いても誰もいないし


休暇だから授業もない…



だから彼と顔を会わさなくてすむのに…
それでも気になって彼を探す自分がいる。
昼間から廊下を歩いて彼に遭遇しないかと考える自分はバカ…。



でも、あったらあったでイライラしてる彼にアタシは喧嘩を売ったり買ったりばかり

もとから素直じゃないアタシだから、そうなってしまうんだろうけど…



そして、今日も…



『イライラしてますね』



すれ違い様にぼそりと呟けば、彼はピタリと足を止めた。次に出る言葉はきっと…



「…ファーシム、お前は何か知ってるのか」



予想とは違ってた



『は?何言ってるんです?』



「…我輩のある一時期の記憶が曖昧なのだ」



記憶が曖昧?



「それに、何か大切な何かを忘れてる気がするのだ」



変だ、惚れ薬で全てを侵食されるはずが、されてない…何故?


心の何処かでアタシを探してる…
真実を言いたい…
でも、信じてはくれないだろう


はっ、と気づくとアタシは彼の目を見つめ、彼もアタシの目を…見てた


『…アタシが知るわけないでしょ』



急いで視線をずらして出てきた言葉はこれ



「時間を無駄にしたか」



彼はマントを翻し行ってしまった。




















そのあと寮に戻ったアタシは談話室の暖炉の前でひたすら泣いた…



















明日はクリスマス…。
遠い過去、二人で過ごそうと約束した日。



みんなに言った…
両親が学会なんて嘘。

本当は学期が始まる前、私がクリスマスに帰らないと言ったから、二人で旅行に行ってしまった…だけ







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