電波日和

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-----紅side

「―――」

親が死んだのは5歳の時。親父は俺らを捨てて蒸発、お袋は酒と薬と男に溺れて死んだ。その後世間体を気にした母方の親戚が順番で俺を引き取ることに・・・。毎日が単調に過ぎていく。家では異物扱い、外では不良というレッテルを貼られ喧嘩三昧。―――疲れた。
路地裏でしゃがみ込み、何も考えずに下を向く。上から降ってくる雨が冷たいのか分からなくなる。・・・・どれくらいそうしてたか分からなくなった時、懐かしい歌が聞こえた。

「あっめあっめ降っれ降っれか〜ぁさ〜んが〜」

-----パシャ
「じゃーのめぇでおー迎ーえ うー嬉しぃいな〜」

-----パシャパシャ

「ピッチピッチ チャップらんらんらん!」

-----パチャン

雨がいつの間にか俺の所だけ止んでいた。さっきまで歌ってたやつは俺の前にしゃがみ込んで息を吸った。

「こんばんは、わんわん!」
「・・・・・・・・・は?」

・・・・オイ、今なんつった?顔を上に上げれば、ニコニコと悪びれてないイケメンがいた。・・・・・なんだコイツ!
俺が軽くパニクってるとソイツはまた歌いだした。

「迷子の迷子の仔犬ちゃんーあなたのお家はドコですか」
「―――」
「・・・迷子の迷子の、」
「あ゙ぁ?!意味分かんねーよ!!」
「あなたのお家はドコですか」
「、ちっ」

なんなんだよコイツ、意味分かんねー・・・。また下に視線を下ろして無視するも聞いてくる。

「わんわんは野良犬なんだねぇ・・」
「あぁ、そうだよ・・」

俺も何律儀に返事してんだよ!コイツ調子狂うっ!!イライラそろそろ溜まってきて拳を握りしめた。ら、

-----ぱさり

「じゃあ・・・わんわん拾ってもいいよね〜」
「―――」

なんだって・・・・っ?コイツ何ぬかした?・・拾う?拾うって、拾うだよな??拾う・・・・・・・・
頭にかけられたタオルが視界を埋める。

「俺さぁ一応お金持ちだからわんわんくらい大丈夫だよ〜」
「お、前・・何言って・・・」「俺の“狗”になってよ、わんわん」

そう言って微笑んだ顔は、同じ人間とは思えない壮絶な笑みだった。






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