恋人は専属SP

HAPPY BIRTHDAY Ali
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今日はありの誕生日



俺はありの警護



「何で今日に限って昴さんなんですか?」



あからさまに不機嫌な顔をするあり



大学に彼女を迎えに行き、一旦ありのアパートに寄り着替えた彼女を乗せて、車を出す



「はぁ…そらさんとか瑞貴さんが良かった…」



助手席に沈む彼女は、さっきから文句ばかり



「そんなにデートの警護が俺じゃ嫌か?」



「嫌ですよ、昴さん絶対彼に何かしそうだし…」



『彼』ね────



「邪魔はしねぇよ、多分・な」



ありはめかしこんで、『彼』とやらと誕生日デートらしい



最近付き合い出したありとその男



カイジが言うにはひ弱な優男で

そらが言うには今流行りの草食系男子で

瑞貴が言うにはアルパカみたいな男だって話だ



どんな男だよ



まぁ、俺とは正反対って事か



ありが何でそんな男を選んだのか



俺にはわかってた───









中ランクのフレンチレストランに着くと、男は七五三みたいなスーツでガチガチに固まって座っていた



「ごめんね、待った?」



「ううん、ありちゃんかわいいね…///」



「ありがとう」



「すみません、本日は警護付きのデートになりまして、俺は一柳と言います」



俺は挨拶だけすると、近くの席に座った



たいして弾んでもない会話が嫌でも耳に入る



オーダーもろくに伝えられない男



どこがいいんだか



♪♪♪♪〜
「あ、ごめんね、ちょっと電話…」



「うん、平気」



男が席を立った隙に、ありの前に座る



「ちょっと昴さん何座ってるんですか?!」



ゴクッ



「あぁ!飲まないでよっ」



「最悪なチョイスだな、何で魚料理にカリフォルニア産の赤ワインを選ぶかね」



「彼は私が総理の娘だから、頑張ってエスコートしてくれてるのっ!普通の人なんだから」



ありがアイツを庇うのはおもしろくない



「しかも甘口、どうせ赤の甘口選べば無難って考えだろ?」



次々に口をつく嫌味に、ありが声を荒げた



「昴さんっ!」



「お前アイツが好きなの?」



ぶつかる視線はすぐに逸らされて



ありの表情が見えない



何を考えてる?



「……………。」



「俺は…」
「ごめん、ありちゃん待たせたね……あの…」



チッ…間の悪い男



「S'il vous pla t,monsieur?
Puis-je voir le menu?」



近くに待機している店員を呼び



「昴さん…?」



「Puis-je avoir du Muscat sec de kelibia?」



俺はオーダーを告げると席を立って、男に席を空けた



「ワインが料理に合ってないから変更してやった、お前、ありと付き合うにはまだまだ勉強不足だな」



男は席に座る事も出来ずに、顔を真っ赤に染めていた



「ちょっと昴さん!」



「ごめん…ありちゃん、僕帰るよ」



男は逃げる様に店を出て行き、残されたありと俺



「昴さんひどいよ」



「どっちが、好きでもないヤツと付き合いやがって」



「それは…これから好きになるのっ!」



「お前はアイツを好きになれないよ」



「好きでもない人と婚約してる昴さんに言われたくない!」
「婚約は解消した」



「……え…?」



「だから、婚約は解消した」



「なん…で…?」



戸惑いに満ちたありの瞳が、俺を真っ直ぐに見詰める



「結婚したいヤツが出来たから」



「………。」







「俺はありが好きだ」



大きく開かれた瞳は、ゆらゆらと涙を湛え始め



今にも零れそう



「お前は俺が好きだろ?」



「…っ…自信家…」



「どうなんだよ」







「……き…好きだよ…っ…どうしようもないくらい…っ…」



ポロポロと涙を流し、一生懸命に笑おうとする彼女



「あり…俺と結婚しろ」



「バカ…なんでそんな言い方しか出来ないの…?誕生日なんだよ?」






ありの横に膝まづき、彼女と向かい合う



華奢な手を握りしめ



ずっとずっと伝えたかった想いを言葉に乗せる





「あり、愛してる、俺と結婚して下さい」







「……っ……はいっ…」



「あり…」



抱き締める彼女の身体は小さくて



だけど暖かくて



こんなにも愛しい存在が出来るなんて



思わなかった



ずっと抱き締めたかった彼女を今



腕いっぱいに感じてる



「遠回りしてごめん」



「昴さ…」



「誕生日おめでとう、あり」



見つめ合い



微笑み合って



俺達は初めての



キスをした─────



これは俺とありの



始まりのkiss────







fin



ありたまHappyHappyBirthday★

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