銀魂

誕生日の夜に
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「あんだぁ?急に呼び出して〜銀さんこれでも忙しいんだぜ〜?」



「そうか、悪かった、ならば帰って構わんぞ?」



「いやいや、月詠ちゃん?(汗)嘘だから!銀さん暇すぎだから、誕生日の夜に帰れとか言わないで?ね?一人にしないで?」



今日は銀時の誕生日、わっちは吉原で育っていながら、恋愛なんかしたこと無かった



銀時に出会って、この男の強さと、懐の深さを知って…



わっちのこの顔の傷さえも包み込む様な暖かさを知って───



気が付くと好意を持っていた



「それで〜?今日めでたく誕生日の銀さんにナニさせようって訳?あれか?お前自分にリボン掛けて『わっちをあ・げ・るっ』とかそーゆープレイですか?」



「…すまん、そういうのが好きだったのか、気付かなんし、日輪にリボンを貰ってくる、部屋で待っていろ」



「いやいやイイから、ジョーダンだからっ!」



部屋に流れる沈黙



何て言ってプレゼントを渡せばいいのか…



晴太と日輪が気をきかせてケーキや飲み物をわっちの部屋に準備していた



「月詠ちゃん?取り敢えず乾杯とか?お前一応花魁の端くれだろ〜銀さんが気を使ってるよ?」



「あぁ…まぁ…飲みなんし」



シャンパンを開けてグラスに注ぐ



ゴールドの液体に立ち上がる泡



飲めば気楽に言えるかもしれない



「乾杯」

カチン

「乾杯」



一口飲むと、細かい泡が口中で弾けて、香りが広がる



もう一口



ヒック────



「銀時…わっちはぬしが…



好きだと言っているだろぉおお!!」



「しまったぁぁぁあ!コイツ酒癖悪ぃの忘れてた!」



フワフワする頭で、銀時に詰め寄る



「これはプレゼントじゃ、受け取れ」



「あ…ありがとうございます──────ってコレ何?」



「わっちのプレゼントが受け取れねぇとか言ってんのかぁぁ?!」



「いやいや、滅相もない!いただきます!いただきますともぉぉお!」



銀時の手に無事プレゼントが渡って、長時間の緊張から解放される



「うれしいか?」



「はぃ…けどコレどうするんですか?どう見ても鹿の頭の剥製ですよね?貴族の応接間にあるやつですよねぇ?
わかった、『手作りなのっ♪てへっ』とかそういうオチか?!」



「ぬし…やっぱり気に入らないんじゃろぅ?返せ」



銀時の手からプレゼントを取り返そうと手を伸ばす



「待てって、嬉しいから!ただ予想外っつーか、想像力の壁っつーか…オィ、やめろ、」



「いいから返せ!」



奪い返そうとするわっちと抵抗する銀時



いつの間にか、手を高く上げた銀時の懐の中に収まる形になっていた



ダンッ



一気に反転する視界



背中には畳の感触



目の前には、赤い瞳と



いつになく真剣な顔の銀時がいた



「俺は、お前が欲しい」



わっちを見下ろす銀時が、告げた言葉が



酔った頭を騒がせる



「銀…時…?」



「誕生日なんだ、好きな女がいりゃ〜何もいらねぇよ」



好きな女────?



「……女を捨てたわっちでもか?」



「捨てるも何も、お前は──月詠は俺にとっちゃ初めから女だったぜ?」



ゆっくり降りてくる銀時の顔



触れ合う直前まで見つめ合う



「誕生日おめでとう、銀と…」



最後の音は、銀時の柔らかな唇に呑まれ



初めてのキスを交わした



銀色の月光が優しく降り注ぐ夜



二人の宴は始まったばかり─────








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