NL novel
□埋められないモノ
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また必要としてほしい
貴方のためなら何でもする
埋められないモノ
「骸様……」
いつもなら頭の中に「どうしました?」と返事が返ってくる。
しかし…今は聞こえない。もう何度も彼の名前を呟いているのに。
もし聞こえたとしてもそれは10年後の彼ではあるのだけれど、それでも骸であることには違いないのだ。
彼の声を求めてクロームは呟く。しかし結果は変わらない。
生きてはいる。それは間違いない。
それがわかっただけでも幸せなことなのだけれど。やはり寂しくなってしまう。
こういうとき、ああ私は彼の温もりに支えられていたんだなとクロームは感じる。
生きている。でも、心配。声を聞かないと安心できない。
「骸様…お願い…」
声を聞かせて。安心させて。
貴方が私を必要としてくれたように。
私も貴方が必要です。
自分の力で身体の損失したモノを埋めることはできました。
でも…心は、空いたままなのです。
「…逢いたい」
その切ない声を、彼女に抱きしめられているムクロウだけが、静かに聞いていた……。
fin.
青い夢がEDだった時に勢いで書いたもの。だってあれ骸髑すぎて素敵だったんですもん。