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□傷つけたいのか傷つきたいのか
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※虚構が入り混じってます。J氏が若干病んでます。



「貴方が復讐を考えたのは一体幾つのときなのですか」
前々から興味があったんです、とジェイドは笑った。其の興味というものが何とも悪趣味だと思ったし平気で聞いてくる処がジェイドらしいと思ったが、軽いその言葉とは裏腹に眼は誤魔化す事を許そうとはしていなかった。寧ろ逃げることも嘘を吐くことも許さないと云わんばかりの眼にガイは自分がすっかり捕えられている事に漸く気が付いた。それで、どうなんですか。ジェイドの言葉に本当性質が悪いな、と精一杯の抵抗を口にしたがジェイドはありがとうございますと嬉しそうに笑うだけだった。
「8つの時だよ」
「あの邸で働き始めたのは」
「それも同じだ」
「それじゃあ、初めて人を殺したのは何歳ですか」
其の質問にガイは吃驚した。
まさかそんな事を聞かれるとは思ってなくて思わず怪訝そうな表情をしてしまったガイに、それでもジェイドはやはり答えろと眼で訴えていた。
まさか覚えてないなんてことはないでしょう。家族の死に未だに縛られている貴方が。
そう言って立ち上がったジェイドはジェイド自身が吐き出した言葉に因って固まっているガイの前に立つ。図星を衝かれた為か、若しくは苛立ちか。ぐるぐると感情の入り混じっているガイの眼を無視してジェイドはガイの頬へと手を添える。ガイ、優しく名前を呼ばれて更に混乱する思考にガイにジェイドは労わる様な顔をした、反して「どうなんですか」と答えを急かしてもいた。
「公爵、の」
ガイは極めて冷静に返したつもりだったが、その声は震えていた。
「邸で働く前だ」
段々と声が小さくなっていったが確かに答えられた其れにジェイドは酷く嬉しそうな顔をした。そうですか、その声はいつも通りとは変わらないものに思えたがそれでもその表情だけはやはり嬉しそうだった。
「好きですよ」
何が、とはジェイドは言わなかった。一見告白ともとれる其れをけれどもガイはそうではないと思った。好きであると言う其れが嘘であるとは思わないがそれでも好い意味では無いだろうと何となく感じていた。只一つ解ったのは、先程の答えをジェイドはえらく気に入ったという事だけだった。
もう一度ジェイドは好きです、と告げた。そうして近づく唇にガイは目を閉じる。

(最後に見えた悲しそうな表情は見なかったことにした。)



傷つけたいのか傷つきたいのか
あんたは其れを聞いて自分のした事の罪を嘲笑っていたのじゃないかってそう思ってしまうんだよ。

御題配布元(なれ吠ゆるか



ガイが初めて人を殺した歳は747の妄想です。

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