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□向日葵
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黄色と橙色が綺麗に隠す
大切な大切な愛しい人
だけどほら太陽はステージから消えるから
さあ出ておいでオレンジハニー

太陽とともに帰ろう






「こんなところにいたのかよ」

偶然見つけた向日葵畑。その真ん中に眠るオレンジ色の恋人。
規定の白い学ランは汚れていて、みっともなかったから背中を軽く蹴りつけた。
途端、零れ落ちる少量の砂粒に起きるのかそうでないのか微妙な声が聞こえた。

「早く起きろ」

口から零れた言葉は夢の中のオレンジには届かないのだろう。
それが腹立たしくもあり、けれど同時に愛しくもあった。
幸せそうに口元を緩めながら、一定のテンポで静かな寝息を吐き出していて。
その呼吸が妙に(愛しかった)

傾く太陽に照らされるのは眠るオレンジを護るように伸びる向日葵。
その影に護られながらオレンジは眠り続ける。
このまま眠り続けるのだろうか。
それともこのまま向日葵となるつもりなのだろうか。
どちらにせよ、許すつもりは微塵も無いので、さっきよりも強く、愛しいその背中を蹴った。


「・……痛い」

やっと起きたオレンジは文句の後に「おはよう」と笑った。

仕方ないからこのままオレンジが同化しないようにと
手をつないで向日葵畑から抜け出した。






もうすぐ太陽が沈む
幕の下りたステージにヒロインは
そう、必要ないから
さあ帰ろうか
オレンジハニー

幕に邪魔をされないように
君が僕の元に帰れるように
ヒロインから恋人に戻ろう

向日葵のようなオレンジハニー
黄色と橙色のステージから君だけを助け出すから

青空の下 僕の前でだけ 咲き続けて
愛してるオレンジハニー

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