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□花冠
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日のあたる花畑であなたと二人。







「でーきた!」

隣で丸井先輩がそういったから、なんだろう、と思って覗いてみたら、草花で作られた花冠。
なかなかによく出来たそれをどうするのかと思ってたら、頭の上にのせられた。

「ちょっと、先輩」
「いーじゃん、似合ってるぜ」

得意気にそう笑った先輩に少し見とれながら、とりあえず頭の上のものを手に取った。

「ちょ、取るなよお前」
「いやですー、まったく、違うでしょ先輩」

そういって空いている片方の手で思いっきり先輩の体を引き寄せた。

「ぅわっ」
「はい、これが正解♪」

そういって頭の上に冠をのせる。赤い髪に白い花の冠はとてもよく似合っていた。

「俺は男だからこんなことしねーの」
「俺だって男だから、好きな人にこうしたいの」

そう言い返せば、朱を増した頬を隠そうとか先輩はそっぽをむいた。


「先輩、こっちむいて」
「・・・・やだ」
「先輩」
「やなもんはやだ」
「せーんぱい」
「ちょっ、おまっ」

先輩の頬を両手で包んで無理矢理こちらに向かせた。そしたら案の定少し赤みの増した頬と少し不機嫌な先輩の顔。
あまりにも可愛くって自然と笑みがこぼれた。



「先輩、大好き」
「・・・うん」
「もう離さない」
「・・・・うん」

「切原赤也は丸井ブン太のことを一生愛することを誓います」
「・・・ばーか」
「丸井先輩は?」
「・・・まー仕方ないし誓ってやる」

そういって目を瞑った先輩と触れるだけの誓いのキスをした。







祝福なんてされないけど、だけど確かに誓うよ。
社会に引き裂かれそうになっても、必ずその約束は守るから。


永遠に、この愛だけは。

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