星の降る刻

□ウタカタノトキ
2ページ/5ページ

それから1年どこかで事件や諍いがあると必ずと行っていいほど、兄さんは重用されていた。
今だって西外れの町で起きた暴動をおさめるために行っている

「ただいま」
言ったところで返事があるわけがないことは分かっていながらも自然と口から出ていた言葉。
だが予想を裏切って奥の部屋から物音がする。
兄さんが戻っているのかと近付くと知らない男が出て来た。
いや正確には全く知らないわけじゃない。たった15歳ながら兄さんのいる隊を指揮しているアーサーとかいう男だ。
何故そんな人がうちにいるのか…そんなことを考えていると向こうから声を掛けてきた。
「よかった。帰りが遅いから心配していたんだ……すまない…シオンが倒れた…」
俺は一瞬何を言われたのか分からなかった。頭が真っ白になり、アーサーを押し退けると慌てて部屋に入った。
ベットに横たわる兄さんの顔色は白く生気を帯びてはいなかった。
「兄さんっ!!」
慌ててかけよると、アーサーに止められる。
「今やっと薬で落ち着いたところだから…」

部屋から出てリビングへ行くと、アーサーが勝手にコーヒーを入れて持ってきた。

「なぜこんなことになった…」
俺の問いに、向かいの椅子に腰をおろしたアーサーが口を開いた。
「君はシオンの、ヒールの紋章の力についてきいているかい?」
なぜ今そんなことを聞いてくるのか不思議に思いながらも、兄さんから聞いたこと、稀な能力だということを答えた。
「それだけ?………そうか、シオンらしいな」
まだ何かあるというのだろうか…
俺は黙ってアーサーの次の言葉を待った。
暫くしてアーサーが言いづらそうに口を開いた
「ヒールの紋章の力は使う者の命を削る…」





.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ