リレー小説
□本編
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「次に校長の挨拶です。」
現在、体育館で絶賛始業式中だ。
右を見ると綾が真剣な表情でマイクの前に立とうとしている校長を見ていた。
そんな真剣に聞くほどの事もないのに、なんとも綾らしい行為だ。
成瀬は……っと、どうでもよさげだな。
まぁ、大半の生徒が成瀬みたいな表情だと思うが。
「みなさん、おはようございます。今日から新たな学年になりましたが―――」
そうそう、うちの高校の特長としてこんなのがある。
「わたしの言いたいことは唯一つ。今を楽しめ!!……以上だ。」
それは校長や理事長の話がかなり短いことだ。
何でも理事長は学生時代に校長などの長い話が嫌でそんな思いを自分の生徒にさせたくないらしく、校長もこの考えに賛同しているそうだ。
さて、後は理事長と会長の話を聞いて終わりのはずだが、何でまだ校長がいるんだ?
「さて、本来ならわたしの話はこれで終わり、理事長の話なんだが……まぁいつものごとく理事長は欠席だ。」
めずら……しくもないか。理事長はたびたび何かに夢中になりこういうものに出ないことがあるからな。
周りの生徒も「またか。」や「今度は何やってんだ。」と小声で話しているみたいだ。
「今回は「世界一のトランプタワーを作ってみせる!」だそうだ。」
なんともまぁ、理事長らしいというかなんというか……
「それと同時に「邪魔したらどうなるか、みんなならわかるよね〜?」と『満面の笑み』で言っていた。」
その言葉が発せられた瞬間、体育館の温度が2,3度下がった気がした。
理事長は以前自分の邪魔をされたからという理由で一人の教員を解雇したという噂がある。
それが本当かどうかは知らないが、この学校の暗黙のルールとして理事長の邪魔はしてはならないと言うのができたほどだ。
しかも、今回はほとんどしない『警告』までしているのだ……邪魔したらどうなるかわかったもんじゃない。
「そういうことなので今日は屋上、並びに理事長室への立ち入りを禁止する。」
そういえばこの学校のおかしなところの一つに屋上が上げられる。
それは屋上に二階建ての小さな家が建っているのだ。
どうやって建てたとか土台は大丈夫なのかとかいろいろ疑問はあるのだが、とりあえずそこに理事長は住んでいる。
そのため理事長室は校内になく、その屋上の家が理事長室のかわりとなっている。
なぜそんなところに住んでいるのかを聞いたら「えっ、だって朝は出来る限り寝ていたいじゃん。」と言われたことがある。
まぁ、たまにそこで食事を一緒にさせてもらったりもしているので文句はないのだが……
「ではこれでわたしの話は終わりだ。」
注意事項を話し終えた校長はさっさと壇上から降りていった。
「えっと……つ、次は生徒会長の話です。」
少々動揺をしているが、自分が進めないと式が進まないため司会者は次に進めた。