マイソロ3
□高い人が好き!
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「クラトスさーん!」
「ああ、お前か。何か用か?」
………。
「チェスターさん」
「ん?どうした?」
「髪ほどいても良いですか?」
「ダメだ、やめろ」
……む。
「ユーリさん、あの…」
「どうした?オレに用事なんて珍しいな」
「今日私料理当番なんで手伝って欲しくて…。お願い出来ますか?」
「ああ、そんぐらい手伝ってやるが……」
青年がこっちを見た。……思いっきり睨み返してみた。
「おー、怖。サラ、行こうぜ」
「ちょい待ち!」
サラちゃんの肩をわざとらしく抱いて食堂に向かおうとする青年を睨みながらサラちゃん達を引き止めた。
「レ、レイヴンさん!?」
「何だよおっさん。オレ達食事作りに行くんだが」
「サラちゃん、そのぐらいおっさんが手伝ってあげるから。青年、サラちゃんから離れなさいよ」
「ハイハイ、本当しょうもないおっさんだな…」
スッ、とサラちゃんの肩から腕を退ける青年を見て内心ホッとした。
そしてサラちゃん、と声をかけるとハイ!と元気良く返事が返ってきた。
「おっさんと、作ろ?」
「ホントはレイヴンさんに美味しいって言って欲しかったんですけど…レイヴンさんと作るのも楽しそうです!」
あ、自前じゃない心臓がヤバい。サラちゃんの笑顔にやられそうよ?
「ま、まあサラちゃん!行くよ〜」
「ハイ!」
何故こんなにモヤモヤするかをよ〜く考えてみた。
その時、サラちゃんの言葉を思い出した。
「私、背の高い人が好きです!」
……それでか。
サラちゃんは無意識だろうけど、今日俺が見た限りではサラちゃんが話しかけていた男どもは全員おっさんより背が高かった。
「…あのさ、サラちゃん、前背の高い男が好きって、言ったわよね?」
「はい」
「…おっさんさ、ジュディスちゃんより背低い訳よ」
「はい…」
「やっぱり、おっさんより、他の奴のが良い?」
暫しの沈黙。
俺様は臆病者だからサラちゃんの顔を見る事も出来なかった。
「何言ってるんですか!レイヴンさんも十分背高いですよ!」
「…え」
「だって世の中には160も行かない様な男の人だって居るんですよ?レイヴンさんは170あるんですから十分です!」
ギュッと抱きついてくるサラちゃんに言われた言葉でおっさんがどれだけ安心したことか。
ああもう、やっぱりこの娘は…
「愛してるぜー!」
「愛の快針ですか?」
「違ぇわよサラちゃん」
おっさんの心を掴んで放してくれそうにない。
―――
何 で レ イ ヴ ン だ と 甘 く な る ん だ
11.06.11