市川座名九郎編 (完結)

□3話
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私は、成田屋の屋号を持つ市川宗家に生まれた跡継ぎ。
生まれた時に名付けられた名前は、セイジだった。
初舞台は6歳からで、親や兄弟子たちに厳しく教えられてきた。
中学二年生の頃、九州のフイルムフェスで、中学の部活で作られた映像作品がグランプリを取ったと聞いた。
大抵は趣味で撮っているだけだろうとは思っていた。
しかし私の目を引いたのは、脚本と監督をしたという人物の名前だった。
紅白セイジ。
そして、聖堂山中学映像文化研究部の部員だけで作られたという触れ込み。
同年代の男子が作った作品がグランプリで、その監督が漢字は違うかもしれないが、同じ名前。
そして、そのアップデート版という千年の女神。
グランプリ作品より良くなっているという噂を聞いて、見てみようと、すぐにDVDを注文した。
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