オリジナルSS

□練習用SSS
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甘い夢。私が書く文章は、現実を元にしていても、加糖された文章だ。現実、社会、資本主義。どれも苦く辛く、そのまま食べるには適さない。このレモンティーのように、シロップの甘さと、レモン果汁の酸いで、紅茶は美味しくなる。私の料理を、フルコースで、お届けしようか。さあ、召し上がれ。

赤いレンガで舗装された、オシャレな商店街が有った。年々寂れていくその通りを、夏の度に歩く。小さい頃は、よく浴衣を祖母に着付けてもらって、千円くらい持ってきて、わたあめや輪投げを楽しんだ。時は、昔ながらの商店街から、賑わいを奪うばかり。週末は、大きなショッピングモールに、車で行って、車で帰る。そんな人が増えている。幸いにも、そんなショッピングモールが徒歩圏内にあり、買い物に通うこともあった。しかし、レンガの商店街よりも、冷たい気がしてならない。人と人とが、集まって発生する、暖かい気持ちが、ない。たとえCDやDVDを貸してくれるお店のフランチャイズ店がテナントで入っていても、商店街の個人経営のレンタルショップで借りるときの、楽しみには敵わない。

もう、この商店街のことは、思い出として、しまっておこう。思い出を消すことはできない。しかし、来年行ったら、現実にも、思い出にも、この商店街は失われてしまうだろう。もう来ない。それが、心の中であの商店街を生き続けさせる唯一の手段なのだ。
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