short story
□甘い甘い・・・。
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外は紅葉。
肌寒い秋空が体を這い震わせた。
「何処へ行くンです?」
「……お前、寒くねェか?」
彼は自分の着ていたカーディガンを僕に着せてくれた。
そんな、彼に告白された時……天と地が逆さまになるのでは無いか?という位飛び上がった。
名前じゃ無かったケド……。
まず、柄にも無い事を案外サラリと、口にした事が驚きだった。
『好きだ…モヤシ……。俺のモンになれ……選択次第では……。』
キラリと光る六幻。
脅しでは、無いかとは思ったが……一応、僕が男だと確認させ付き合う事に…。
-----………実際は本当に嬉しかったよ?飛び上がる位。
僕も柄に無く愛してるなンて陳腐な事が言える位…。
「うわ…;木が生い茂ってる…;」
だんだんと森の中に入って行くもんだから、僕の迷子センサーが発動して神田の骨張った大きな手を握った。
「あ?」
明らかに何だよという顔を向ける。
「ま…迷子に成りそうです……。」
すごすごと見上げると顔を背けて肩を震わせている。
笑ってる?
「く…くく……。ははは!!」
吹っ切れた様に笑い始めた神田。
始めて見た……---。
Σって、見惚れてる場合か!!
馬鹿にされてンだぞ?!