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□宿命
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ミーとアンタの出会は運命みたいに安っぽい言葉は似合わない




数年前のある日
ミーはヴァリアー本部に幻術使いとして配属された
そこには沢山の人達がいて結構楽しげに話しをしていた
(…こいつ等、本当に暗殺部隊かよ)
ミーはこいつ等よりいくつか上のXANXAS とか言う名前のボスの下に付く守護者の霧だかなんだかに確か配属されたんだと思う
少しばかり長い廊下を進むと何か他の扉とは違う頑丈で大きい扉に行き着いた
(なんだろ…)
何も考えず扉を開けた
多分好奇心からだと思う
「失礼しますよー」
ゆっくり扉を開けると、大きく長いソファーに横たわった多分、自分より数歳ほど歳上だろうと思われる金髪の、くせ毛であろう髪をショートカットくらいに切り前髪を目が見えないくらい伸ばした少年が心地良さそうに寝ていた
(頭にティアラ…)
ゆっくりと踏み寄って見ると
『ヒュッ』
勢い良く飛んで来たナイフがザックリと音をたてて背中に刺さった
「いって…」
思わず崩れ落ちた
「ししし…バーカ」
この声は多分さっきまで寝ていた少年のものだろう
「ジッエンド…バイビー」
そう言ってスタスタと部屋を出ようとする
「よいしょ…っと」
そう言って立ち上がるとその少年は急いで振り向いた
「この体の重みと痛み、拒絶反応から考えるとこのナイフ、毒塗ってますね?」
背中からナイフを取って目の前にちらつかせる
「幻術か?」
少年がゆっくり口を開いた
「違いますよー
ミーはこの程度の事じゃ幻術使いません
普通の人間とはデキが違いますから」
そう言い捨てると、少年はまた奇妙な笑い声で笑った
「ししし…おもしろ…お前、名前は?」
「フランです」
「ふ〜ん、変な名前」
いきなり馴れ馴れしい口調で謝罪も無しに話しかけてきた
(変な人…)
「アンタこそ…名前は?」
一人で楽しそうに笑っていた少年がコチラに向き直った
「俺はベルフェゴール、王子でヴァリアーの嵐の守護者」
そう言ってまた笑い出した
人の事、いきなりナイフで刺したり…

アンタはミーを気に入ったみたいですね

ミーもアンタを気に入りましたよ

こんな出会い運命なんて言葉は似合わないですね

なら宿命…なんてどうですか?

まさにピッタリだとミーは思うんです



〜END〜

→後書きと言う名の言い訳
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