レジェンド・ウィング 完
□二章 魔の手と銀色の手
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誰もいないのを確認して、ボールを開いた。
中から七匹目のポケモンが出てきた。
リアは正式なトレーナーに登録されていないため持てるだけ持てるが、基本的に昔から共にいるシュネー、ニュニュ、シルヴィア。
心に傷を持つクノッヘにシュヴァルツ。
信じていたトレーナーに捨てられたベリーの六匹だ。
そしてこの七匹目は『人が踏み入れていない自然のままの平和な森』に返すためにパーティにいる伝説のポケモンの一匹『セレビィ』だ。
独逸語で自然という意味を持つ愛称をつけている。
デンは擬人化したら、ドンとリアに抱きついた。
「リアリ〜」
ぎゅうぅ〜と小さな体で抱きついた。
華奢なリアだが、フリーデンは小学生くらいの体形のため兄弟に見えてもおかしくない。
「こら、デン。抱きつくな、リアが動けないだろう」
擬人化したシュネーが引き剥がした。
「やーだー。ボク、リアリーが好きなんだもん」
頬を膨らませながら再度リアに抱きついた。
「カラカラカラッ」
クノッヘもまるで対抗するようにリアの足に抱きついた。
「ほら、シューもデンもリアをあまり困らせるな」
シルヴィアが言った。
「俺だってリアに抱きつきたいぞ」
ニュニュがリアの背中から抱きついた。
「ああっこら、ニュニュ」
リアはため息をついてよしよしとニュニュの頭を撫でてやった。
普段なら見せない微笑ましい光景だ。
「あっリアー、『みずーみ』が凍ってるよ」
クノッヘと遊んでいたフリーデンが言った。
「お、本当だな、しっかりしてるし厚さも結構あるな」
「天然のスケートリングだな」
「リンクだよ‥‥‥よし」
リアは岩に腰を下ろして、ブーツの踵を外した。
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