霧の先にある希望の虹


□閑話 尊き日々
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「ホウコクシヨー、それなにクマ?」
「仕事内容を上に伝える書類だ」

大晦日も秒読みになった寒い昼下がり、雪月花組の宿泊拠点にただめし兼お茶をしに来た特捜隊メンバーを横目に深雪はパソコンで、リアリーは手書きで先日の戦いのまとめをしていた。
深雪は黒いサンタクロースのこともやらなければならない為些か大変らしい。

「リアさんはパソコン使わないの?」
「ああ、立ち上げとか、変換とか、通信とかが面倒だから」
こくりと頷いて言った。

「私は略強制」
「それは、深雪が『すみ』を使うからだ」
深雪は字を書く時はいつも筆を使う、それも筆式のペンではなく炭を引くのだ。

「失敗したら修正きかないから最初からやり直しになるし」
「間違えないわよ。
日本語じゃなければ」
「外国に文で送るな」
「ミンは喜ぶわよ」
「そうゆう問題じゃない」
リアは手を止めているが、深雪はキー打つ指を動かしている。
言い合いというじゃれあいをする二人にもなれて、ほほえましく見える。この二人のやりとりがもう聞けなくなるのかと寂しくなる。

「みーゆきっ、あそぼー」
ごき、と深雪の頭に飛び付いてきたクッキーが言った。
オレンジ色の髪に青いくりくりとした瞳。深雪でも手を焼いているポケモン―ビクティニだ。

「み、‥‥深雪さ、ん?」
「いい、いま…ゴキって…」
「いったね…」
リアリーが立ち上がり、向にいる深雪によると、深雪の顔をつかみゴキと鳴らした。

「あうっ」
「直した」

「だ、大丈夫?深雪さん…」
「クッキー…」
「深雪〜」
何をしたかわかっていないため反省も罪悪感もない。

ごん、と深雪が拳を握った時クッキーの脳天を拳骨したものがいた。

「クッキー、主になにをしている
擬人化したククがいった。
「ごきと聞こえましたが?」
と背中に黒いオーラを背負った美しく笑うイリス。確か虹の化身でなかった。

「先日のこと、反省していないようだね?」
ほしがいった。

「あなたにはお灸が必要のようね」
「深雪を独り占めにしちゃだめ」
シャシャと真美がたたみかける。
互いに主人が好きなのは承諾している為、抜け駆け禁止をしているらしい。

「大変だね、クッキー」
「ご愁傷さまです」
グレッチャー、シルヴィアが合掌した。
だが、自分たちも彼らと対してかわりないのは主人と卯月たちしか知らない

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