霧の先にある希望の虹


□新たな決意と新たな力
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「それで、足立氏が旅館に来てたのか?」
一通り話を聞いたら、足立が山野の身辺警護に雪子の家基――老舗旅館天城屋に来ていたらしい。
完二が女子たちに足立から色々聞かれていたと言った。
警察をあまり良く思ってない完二は警察はそんなもんだと思い言わなかったらしい。
「完二、何気ないことも有力な手がかりってこともあるんだぞ…」
「そうですね。でも、巽君の場合仕方ないですよ」
冷たくいう深雪に直斗がフォローを入れた。
「山野さんの死体発見者である小西さんにも足立刑事は何度も聴取していたらしいです」
情報が少ないかららしい。
「そういえば、あのへタレタスじゃなくてキャベツでもない。
刑事っていく先々に居たね。」
深雪が毒舌を吐きながら二度訂正した。
「それをいうならな‥「ほし」ごめんなさい」
またよけいなことを言おうとしたほしを笑顔(堕天使の微笑み)でドスが効いた声で黙らせた。
『(怖‥‥)』
愛するブースターにも容赦はない時があるようだ。
「でも、あれって俺たちを躍らせるためだったとか」
「確かに、勇希の家のポストにだって入れられると考えると証拠隠滅も可能だな」
ククが言った。
「リアさん、足立さんの『心』って聞いてないんですか?」
「普段は能力OFFにしてる‥‥」
雪子の質問に帽子を指していった。
「確かめに行こう」
勇希が言った。
「そうですね。とにかくあくまで可能性に過ぎませんし、すぐに確認した方がいいですね」
直斗が勇希に賛同した。
「意義はない」
「以下同文」
特捜隊と雪月花組が足立がいるであろう病院に向かった。


◆◆◆


病院に付くと足立が看護師と話をしていた。こちらに気付くと近づいてきた。
「あれ、君たち何でこんなとこに?そうだ、堂島さん知らない?
病室から抜け出したって言われて…」
「いっくら釘さしてもすーぐどっか行っちゃうんだからー」
看護師もご立腹で、堂島を探しに奥に行った。
「やれやれ、生田目の搬送も終わったしこれで帰れるはずだったんだけどなぁ」
何時ものようにへらへらと笑いながら言った。
「搬送…終わったんですか。前から思ってましたけど、随分急ぐんですね」
疑問文のように聞いた。
「え?あぁ…うん、だってほら堂島さんや菜々子ちゃんとこのまま一緒じゃさ…。君たちだってその方がよかったろ?」
言葉を濁らせて言った。
「君たちこそ何しに?菜々子ちゃんの病室はこっちじゃないよ?堂島さんが来ないうちに帰った方がよくない?また捕まっちゃうよ?」
「足立、生田目はどうした」
足立が追い帰すように言った時、堂島が角を曲がって来た。
「なんだか今日はえらく騒がしかったが…」
堂島には生田目の搬送を一切知らされていなかったらしい。
「ど、堂島さんこんなとこで何やってんですか生田目ならもう搬送しました。報告しようと思って探してたんです」
「搬送しただ!?おい誰が良いと言った!ヤツにはまだ聞きたいことが残ってんだ」
足立に掴みかかるいきおいだった堂島をククが押さえた。
「堂島氏、落ち着け、傷がまた開く」
深雪が静止を言ったが聞き入れない。
「最初の二件の殺しがひっかかるんだ…ヤツは動機もイマイチだしアリバイも固かったはずだ。証言で埋まった穴は多いが、そこだけは未だに引っかかる」
他の警察ならめんどくさくて流してしまうであろう事を生真面目に向き合っている。
本当に自分の仕事に誇りを持っているのを行動で証明している。



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