霧の先にある希望の虹


□鬱屈よさらば
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菜々子を救出して、生田目が捕まってから数日がたった。

「‥‥ああああもう
しばらく『それ』を見つめていた深雪が雄叫びをあげた。
占いの仕事は安泰であるが、それが原因ではない。
「しかたない。リー、買い物いきな」とリアに財布とリストのかかれたメモを渡した。
「深雪?」
「いいから、行け」
作るのは深雪。なら買い出しはリア。分担制のためしかたない。リアはため息をついて、帽子をかぶり、旅の必須アイテム兼旅の相棒基自転車にのりジュネスに向かった。



11月23日
リアはあっそういえば今日は同僚の綾瀬の誕生日だ。と思った。実際、自分たちのいた世界と時間の流れは違うが。
そう思いながら車を引きながら深雪の渡されたリストにある品物を籠に放り込んでいく。
お菓子は任せると書いてあるので、テキトウに放り込んだ。


◆◆◆


『はい?』
見事に皆の声が重なった。
「はっ、同じ事を二度も言わせるつもりか?」
「えっと‥‥今日は泊まれ、ですか?」
勇希が言った。
「明日は休みだろ、泊まれ」
否を認めないようだ。
「いきなりですね?」
「貴方たち週明けテストなのに直斗や勇希以外、雪子は多少しかたないとして、殆ど勉強してないだろ
「なんで知ってるんだよ
「どっち?試験の日?勉強してない事?」
ボングリでドリンクを作りながらリアが言った。
「てゆーかなんで勇希や直斗は省くんだよ
「普段の行いから」
「深雪さん、本当に遠慮なしにいいますね‥‥」



◇◆◆◇



「殺す」
「リー、落ち着いて〜」
「リアさんストップ、ストップ」
リアは流星を原型の大砲にして口を陽介に向けている。

一時間前
それぞれテスト範囲を確認して教科書で調べながらノートに書き写したり、書き加えたり、教科書をカラーマーカーで引いたりしていく。
「ほれ、夕食の焼肉が食いたいならしっかり覚えろ」
なんでも今朝知り合いの子子子子-ねこしじ-という人が送ってきたらしい。
リアでも大変なため、今日はお泊まり会だからちょうどいいとの事だ。
「子子子子さんってどんな人なんですか?」
深雪の知り合いで実家は田舎で農業をしているらしい。
深雪に頼みたい事があるからと対価に送ってきたらしい。
「前払いもありなんだ」
「前払いだと、その分しか働かないから」
「どんなお願いなの、そんなの送ってくるなんて」
送られてきたのは普通ならとんでもない物で、とんでもない量だ。
「コシ(子が四つだから)んのところ、つぶしてゴルフ場作るみたい。近隣のところも差し押さえに来てるって」
土地の所有権を渡せと、最近嫌がらせが酷くなってきたらしく、先週にはまだ幼いミルタンクを三匹も殺されたらしい。
「ひでー話だな」
「腐った奴らだからな。ま、引き受けた以上なんとかする」
「できるんですか?色々問題がありますよ」
直斗が言った。
「ΡΜ国の法律はこことは違うわよ。麗奈に怒られるが、な」
苦笑しながら言った。
「またあのてを?」
「あのて、って?」
「脅迫」
「脅迫って、深雪さんそれはまずいんじゃ‥‥」
「人の人権を迫害する人間に、人権はない!」
悪党に人権は無いという人はよくいるが‥‥、深雪は筋を通すがそれはそれで嫌な人だ。
「それより、勉強しなさい」
「へいへい、っと、シェークピア?だっけ?」
「シェクスピュアよ」
深雪が正してくれた。
「そういえば、シェクスピュアの作品に『リア王』があったよね」
「ありましたね」
「読んだことないけど、名前はしってるよ」
「おもしろいよな、もしかして、リアさんの親、愛読者でつけたとか?」
ドンッとボトルをテーブルにおいた。
「り、リー‥‥」
「え?あっ冗談、冗談だから‥‥」
「殺す
というわけである。

因みにリアの名前の意味は背後や後ろのRからだ。
本名はリアリーだが。


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