レジェンド・ウィング 完
□六章 幻の大陸
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だれ ?
誰かが呼ぶ声がする。
誰だろう?
リアは、はっとした。
水の‥‥‥なか?
確か昨夜は小川近くにテントを張り野宿したはずだ。
腕に抱いていたクノッヘがいない。
ほしと隣で新しい仲間と寝ていたはずの深雪がいない。
そもそも
ここは、何処だ?
水の中なのに息が出来て、着衣が揺れている様子がない。
ただ、浮遊感はある。
夢の中
普段の自分には似合わない。
‥‥‥‥
誰かが、何かを言った。
「リー、起きな。朝だ」
「そういえば、ここらへんには『都市伝説』みたいな噂があったな」
朝食を終えて、川沿いを歩いていたら、深雪が思い出した事を言った。
「ああ‥‥『幻の大陸』だったけ?」
ホウエンにも似たようなものがある。
「あっちは見た者が少ないからずいるが、ウチの幻の大陸はただのお伽噺話かもしれないな」
探した探検家やトレーナーは多くいるが、しかし『誰一人』として見つけられなかった。
「あの『ひみつの花畑』みたいになにかしら結界があるのか」
シェイミが住む花畑にはどんな原理か解らないが、結界が施されていて招かれた者しか入れない為地図にも乗っていない。
「招かれないと、駄目なのかもな‥‥そこも」
―――――――
「え?」
「?」
「誰だ」
背中から刀を出せる態勢にして言った。
そこからの記憶がない。
「うくっ‥‥」
軽い頭痛でリアは頭をふった。
「深雪、葉月?」
近くで気を失っている深雪を見つけた。
「ゆき!、大丈夫?深雪」
揺すっても、頬をつねったり、軽くたたいたり、つついたりしてみたが、反応はあるが、気が付く様子はない。
「仕方ない、『あの手』しかない」ため息をついて、深雪の耳元で囁いた。
「ゆき、『沙苗が結婚する』って」
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