レジェンド・ウィング 完


□閑話 虎穴に入らずは虎の子得ず
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『―本当に面白い人間だな』
「何故私なんだ?てかこの話の主人公リーなのに私が目立ってるし、リーが自己主張好きじゃないのは知ってるが、なんか私が主人公になってるの多いし、リーが主人公なのにさ、どうゆうことだよ」
深雪は怒ると同じ言葉を繰り返す。キレる前触れでもある。
「リアがとりあえず目立ってるところもあるがな」
『―ヒロインですからね』
「‥‥他に、仲間がいるといったな。どんなやつらだ?
お前が私をわざわざ呼び寄せたんだから、“他のやつら”もそうしてんだろ」
『―その通り。』


超と水の『シントル』

炎と電気の『タインザー』

氷と悪の『ジャシー』

鋼と霊の『コウリート』

草と龍の『ゴアゴン』
それが、虹島にいる伝説のポケモンたちの名前だ。

「炎と雷-でんき-の奴がいるのに、私のとこにはこないんだな。
他に気に入った奴がいたのか?」
『―確かに、貴女も興味があったらしいが、それより“心惹かれる”ものがいたらしくそいつに「会いたい」ようだ』
「そうか‥‥お前は、何故星の数もいるトレーナーから私を選んだ?」
『―仲間を、家族を何よりタイセツにしているからだ』
「それで、私を嫌ってるやつもいるけどな」
厳密にはその人は嫌っていないが、自己犠牲を良く思っていない。
それでも、もう後悔はしたくないから、護ると決めたタイセツナモノをなくさないように――。

『―それでは、深雪。あなたの力を見せてください』
「クク!」
「バクゥッ」
背中から炎を吹き上げた。
シリトンは“ハイドロポンプ”を使ってきた。
「“火炎車”で蒸発させなさい!」
回避しつつ当たろうとも、蒸発させてしまえば、弱点も怖くはない。もっともタイプの相性を覆すのはバトルには基本であるし、深雪の特技でもある。
「“気合い玉”!」
影分身をして回避された。
「ちっ……左から三番目だ!
“雷拳”!」
『―くぅっ、“影”の濃さでみきわめるとは…おもしろい』
サイコキネシスで攻撃してくる。命中率も効果も、急所にも当たりやすい技だ。
「だったら、“護る”だ!」

自分の回りに不思議な盾をつくり、サイコキネシスをふせいだ。
「攻撃こそ、最大の防御が私のモットーだが、時には護る時には護らないとな」
「バクッ」
『―では、“毒毒”!』
「“ジャイロボール”!」
鋼タイプの技で弾き消した。
『―わくわく、してきた。
こんな楽しいバトルは始めてだ』
「ミントみたいな事いわないでくれ」
バトル好きな雪月花組の最年少の親友を思い浮かべた。

『“サイコショック”!』
「“オーバーヒート”!」
総裁する。
互いに引かない。
深雪もククしか使わないつもりだ。

「クク、“雷拳”!」
『―くっ、“吹雪”』
避けたが、掠めたようだ。

「“ロッククライム”!!」
『“水の波動”!!』
強力な攻撃がぶつかるが、ククはもろともせず回避する。

『“波乗り”!』
「“気合い玉”」
波乗りが襲いかかる時、気合い玉を放った。気合い玉が、波に飲まれた。と思ったら、突っ切った。
『“なっ”

しかし、ひゅろんひゅろんとシントルに届く前に消滅した。
驚きで、波も消えた。
「出来たとも言えるが、まだまだ未完成だな‥」
お疲れ、とククの肩を叩いた。

『―‥‥ふぅ、なんだか腑に落ちないが、清々しい。
こんなに全力で戦ったのは久しぶりだ。
技を突き抜ける技。世界は私が知らない間に進んでいるようですね。
深雪、私に世界を見せてくれませんか?
あなたの【型】にはまらず【色】変わらぬ、そんなあなたの側で』
「‥‥いいだろう。
閉鎖的な奴は大嫌いだが、開国的な奴は好きだ」
自分が知る事こそ全ての世界、知らないことなど無いと思っている奴は嫌い。
だが、自分が知る事は世界の一部出しかない。まだ誰も知らない事を知りたいという好奇心がある奴は好き。

世界を観ようとしない人と、世界を飛び回ろうとする人。
深雪の仲間はいずれも後者の人達だ。

「よろしくな、『ウィウィ』

じゃあ、お前の本当の“力”みせてくれ」
『―目敏いですね、気づきましたか』




深雪の章 完
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