レジェンド・ウィング 完


□八章 荒れ地に咲く名の無い花
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「あっ」

どちらが先に言ったか解らない。
ただ流れるのは気まずさだ。

「仁、お前もこの町にジム戦に来ていたのか」
「あ、ああ…」
と思っていたのは仁だけで、深雪がそんな空気知ったことじゃないと一刀両断するのを思いだし苦笑した。
それから仁が口を開いた。
「……深雪…「もし関わるなら、生半端な覚悟なら止めろ!
本当に世界全てを敵にする覚悟があるなら『それ』を『リア』本人に言い本人の口から聞きなさい。
…『あれ』は『私の口』から話すようなことではない」
この前のことだとわかっていたらか先にはっきりと伝えた。
仁はある思い浮かべてをして、珍しく眉をひそめた。

「……深雪。まだ『神楽』の「うるさい!!……あれは、『私が気づいてたら防げていたかもしれない』……それなのに、私は気づかなかった…『虐め』に気づいてあげられなった私も『当事者』だ!」…あれからだな。君が『人と境界線』を引くようになったのは…」


トラウマといえばそうなる。

「神楽くんは、君を恨んでないだろう…?『君だけに宛てた遺書-てがみ-』に【有難】って書いてあったじゃないか…」

彼女の死を看取ったパートナーポケモンがもっていた感謝びんせんにただ有難という優しい文字が並んでいた。

ただ唯一自分と向き合っていたのが『深雪』だけだった。
深雪が情報を集めたりするのも同じ後悔をしたくないからで、もう仲間を失いたくないからだ。

だから深雪は人間関係に境界線を作った。
それは絶妙にしているから深雪をよく知るものでないと気づかない。

「……大切なのか?」
「じゃなきゃ一緒にいない。
私はたとえ家と絶縁することになろうと剣をとり、立ち向かう」
「……そんなにやっかいな相手なんだな…。
『ちょっかい出してくる輩』は」
「ああ。
だってやつらは『革命』なんかじゃなくて、強者が弱者を支配していた時代の再来を目論んでいる」

「『それにリアが大きく関わっている』のか…」
「私がいえるのはここまでがギリギリだ」
羽ばたいていたムックルの羽根が落ちてきた。

「…仁。お前、リアが好きになったのか?」
深雪はストレートに聞いた。
「……わからない。でも、ほっておけないとか、今にも倒れてしまいそうな身体を支えてあげたいって思うんだ…」
「恋だな」
「ハッキリ言い切るな?」
「お前が馬鹿なだけだ」
といいジムに入っていった。

「……どさくさにまぎれたな…」
先を越されたのに気づくのが遅かった。



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