レジェンド・ウィング 完


□八章 荒れ地に咲く名の無い花
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「リー、元気がないようだが、何かあったか?」
「え…?あ、っ‥‥‥」
「‥言いたくないなら言わなくていい。
だが、何があっても、私は勝手に私の意思で動く。
……それはフリーダム、というより、リバティだ」

『―リバティ、某-それがし-がうまれ育った島もリバティガーデンていうよ』
元気坊主のような性格なわりに一人称は某だった。

炎タイプらしく深雪もククやリア、葉月に訳してもらわなくても言葉がわかる。
今は擬人だから関係はないが。

「深雪、そいつをはずせ、元はといえばイレギュラーなそいつがいけない」
ククが言った。
パーティのボスでもあり、深雪の相棒なだけあり迫力がある。

「あんたたち落ち着きなさい。
追い出されるわよ…」
ぴしゃりと深雪がいったら全員黙った。


〜♪☆
パソコンの通信電話がなった。

「結芽依博士か…?」

カチッと通話をクリックした。
『―深雪さん、久し振りです』
「なんだ、マキじゃないか。久しぶり」
ユメイ博士の助手をしているマキだった。

『―博士からききましたよ、災難でしたね…』
「いわないでくれ…」
深雪が項垂れて言った。

「それよりどうしたんだ。また『ルミ』が行方不明か?」
だったら資料室じゃないのかときいた。

『―いや、テルミチじゃなくて…(その愛称『こう』すごい嫌がってるのに)
深雪さんのポケモンが今、ゾロアークとビクティニが入って七匹ですよね?』
公式に従うため六匹にしなければならない。

『―それで、できればゾロアを送ってほしいんですが』
「フォフォをか?」
『―はい。イッシュでも珍しい種族らしいです』
卵がとんな経緯であそこにあったかはわからないが、なにか影響をうけつないか詳しく診断してみたいらしい
「……わかった直ぐに送る」

意外に卵の時の経験が生まれたときに大きな影響があるから、深雪もそれを心配していた。

携帯型の通信機を設定して、ユメイ・ポケモン研究所に送った。

『―はい、無事につきましたよ』
「ああ、しばらくフォフォをよろしくな」
『―はい。
あとテルミチを[ルミ]っていうの止めてあげてくださ「じゃあな」
最後まで聞かず電源を切った。

後ろでリアが葉月に輝道の説明をしていた。


◆◆◆


取り合えずパーティも落ち着いて、深雪はジム戦に向かった。

リアはふぅと無意識にため息をついた。
「本当にユキ……君は『側に居てくれるだけ』だね…」
核心的なことをつくのに深くは追求しない。
絶妙な立ち位置をキープしている。
やり易いのかやりずらいのか解らない。
「『深雪』は知っているからね『仲間の重さ』を…」
ただ友達だ仲間だと口だけでは誰でも言える。
でも、その意味を知るものはいるだろうか?
学校なら同じクラス、部活だから仲間、友達と囲いが先生が作る。でも、違うクラスにも、違う学年にもいるはずだ。
でも、もし誰かが命にかかわることに出会っていたらどうだろうか?
間違えたら、自分も死んでしまうとしたら。

戸惑いなく助けるなら、それが本当の友情だ。
少し迷っても、助けに走るなら、それは友情の意味を知るときだ。
関係ないと通りすぎる人は、愛を求めている人であろう。

深雪なら前者だろう。
「でも、ユキは…友達も、夢も護る人だよ…」

夢を捨ててでも助けるというが、深雪はずる賢い人だ。
最後にはあっけらかんとハッピーエンドにしてしまうだろう。



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