霧の先にある希望の虹


□鬱屈よさらば
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「リー、悪い。ちょいとここお願いできないか?」
「わかった」
ただ切った食材を並べるだけらしい。
深雪はエプロンを外すとブースターの形をした愛用のスリッパをならしてどこかに言った。
「深雪さんどこに?」
「御手洗」
付き合いがないからとあの会話でそれが解るのかと疑問に思った。
「何となくというのか、能力使わなくても解るんだ」
「そういえば、リアさんテレパスという能力をお持ちでしたね」
「普段は使ってない。人の心盗み読んでハァハァする趣味は無い
あったらいいと思う能力も、持ってる人にとって迷惑な時がある。
電話が鳴る音がした。
深雪がでたらしく、直ぐに止んだ。
「リー、トーマス氏‥‥お祖父様から電話よ」
「あ、うん」
ポチエナのスリッパをならしながら電話をかわった。
「トーマスっていうんだ。リアさんのお祖父さん」
「ああ。リーもお祖父様には弱いからな、私も人の事言えないが」
苦笑しながら言った。
「深雪さんの両親は?」
「ピンピンしてるが」
「失礼しました」
「いや、かわまん。あんなボンクラ親父は殺しても死なないから」
殺したの?と疑問が生まれたが、聞かなかった事にした。
「あんなだから後継げなかったんだ、父さんは。本当なら私は59代目よ」
「歴史長
正に由緒正しい家系だ。
好物の海猫の卵を開けて口に放り込んだ。
昔ながらのお菓子や近世代色々ある。
「あっ私にもキョロチーちょうだい」
「あっ雪子、私にもちょうだい」
皆思い思いのモノを食べ始めた。
「あっ金の天使だ」
「凄い。私、銀の天使なら一枚持ってるよ」
「それくらいで、驚くな。例えば‥ほら完二、それ色違いのホエルコの絵が書いてあるお菓子見てみろ」
深雪にとっておっとっとっとの赤い鯨は色違いのホエルコにしか見えないらしい。
「これっすか?」
封を開けて中を探ってみた。
「ええ潜水艦が三つにクリオネまで
『ええ
まさかと思った。
「まさか、偶然じゃ」
「否、必然だ。ほら」
チョコ卵のカプセルからおまけを出した。シークレットの灰色狼が入っていた。
『‥‥‥‥』
カールルのおじちゃんのスナック菓子にはおじちゃんにピョンピョンが一つずつ入っていた。ピノピノを開けてみたらハート型、もう一箱には星型が入っていた。以下略。
「リーって昔から幸福体質なんだ。だから、あんまり不幸を寄せ付けないんだ」
当たり過ぎだ。と思った。
深雪はなれてるからか、ほしにピノピノをあげたりしていた。
「随分にぎやかだね」
祖父との電話を終わらせてリアが戻ってきた。
バサバサと羽音を立てて、シュヴァルツがリアの頭に乗った。
「リーの幸福に度肝をぬかれてたのよ」
「そう」
「リーは食べないのか」
「少しなら」
「本当、リーは知ってるな。『食べる意味』を」
パクっと、海猫の玉子を食べた。
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