霧の先にある希望の虹


□孤独じゃないと教えて
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昨日はばててきたため、地下五階で切り上げて、今日からまた再会した。
リアと深雪も魔法を使いつつサポートしてくれるおかげで普段以上に早く進む。

「いた、この部屋だよ
りせが言った。
地下九階まで来てようやく直斗がいる部屋についた。

深雪が蹴り開ける前に勇希が扉をあけた。
中にはテレビに落とされた直斗にサイズのあってないダボダボな白衣を着た直斗の影がいた。
「待ちくたびれましたよ。この子の相手をするのにほとほと参ってたところです」
「相手してまってたんだ」
呟いた深雪の頭にリアが制裁のために大砲を叩きつけた。
リア、空恐ろしい。
「痛っそれ本気づ痛いんだからな
「―やだぁやだ、やだ置いていかないで〜」
お留守番を言い付けられた子供のように直斗の影が言った。
「君と話しても無意味だ。僕はもう帰らないと‥」
「―なぁんで?なんで僕だけ置いてくのどぉしていつも僕だけひとりぼっちなの寂しい‥寂しい」
「(やっぱり、昔の僕と同じ‥)」


幸せの中の不安

満たされた中の喪失感

愛されてるのに孤独

嘘と偽

興味本意

嫉み

皆が求めるのは家柄と家紋に地位、名誉、富、お金

うわべだけの友達

うわべだけの付き合い

誰も知らない


こんなに惨めなのに

こんなに哀しいのに

誰も気付いてくれない

知ろうともしない

「(深雪が、みんながいないと、仁がいなかったら僕はこの世にはいなかった)」

「―僕、大人になりたい‥
今すぐ、大人の男になりたい‥僕の事をちゃんと認めてほしい‥
僕は居ていい意味がほしい」
「やめろ‥自分の存在する意味なんて、自分で考えられる‥」
「―フッ‥無理だって言ってるだろ?今、現に子供である事実をどうする?」
「‥やめろ」


認めたくない事実。

無慈悲な現実。

それに押し潰されそうになる人は決して少なくはない。


「―本心じゃ憧れてるだろ?
強くてカッコイイ小説の探偵みたいな大人の男にさ、それは裏を返せば心の底で自分を子供と思ってるって事だ。
認めろよ‥お前は所詮子供さ、自分じゃどうしようもない。
さぁ‥そろそろ診察は終わりだ‥‥人体改造手術に移ろうか。いいだろ‥“白鐘直斗”くん」
影は名前を強調するように言った。

「やめろ
「―白鐘直斗、男らしくてカッコイイ名前だよな。けど事実は変えられない。性別の壁はなお越えられない。そもそもオトコじゃないのに強い男になれるわけないだろ」
嘲笑いながら言った。


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