短編小説
□虫刺され
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「あれ、ラクスさん?」
「どうかなさいましたか?」
いきなりシンに呼び止められ、何かと振り返る。
「えーっと…虫刺されですか?首に赤いのが…」
「えっ?」
一瞬何かと考えた。赤い虫刺され…。
ふと、思い当たるものがあった。
バッとその箇所を押さえるがもう遅い。
シンにはバッチリ見られてしまった。
昨日キラによってつけられた、赤い所有印。
それはうなじに付けられたものであるから、滅多なことでは見られないと思ってい
た。
しかし、よく考えれば今は髪を結ってある。
下ろしているときならまだしも、結って上に上げているときでは意味がない。
「な、なんでもありませんわ」
何事もないように笑ってみても、顔がひきつく。
「どうしたの?」