短編小説
□お楽しみは最後に
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世界にはバカップルと言う単語が存在している。
誰が作ったのかわからないが、その単語を作った人は偉大だと思う。
―撮影終了後、楽屋にて。
−−コンコン。
女子専用楽屋の扉が静かにノックされる。
「はい、どなたですの?」
一番最初に帰り支度のできているラクスが扉を開いた。
もちろん、お色直しをしている人を見えないように配慮して。
「お疲れさまです、ラクスさん」
「お疲れさまでした。ステラさんですか?」
「はいっ」
扉の向こうにいたのはシンだった。
素早く帰り支度したシンはいつも撮影終了後ステラを迎えにきている。
「おいシン。まだ支度が終わってないだろうから、少し待ったらどうだ?」
ちょうど廊下の角を曲がってきたアスラン。その横にはラクスを迎えにきたキラがいた。
「そんなこといったって…今日はデートの日なんですよ!?」
(お前達は毎回デートしてるじゃないか…)
心の中でため息をつきたくなるアスラン・ザラ。
しかし確かに、可愛らしい恋人がいればいつでも一緒にいたいだろう。
「だからって…早く来ても帰る時間は変わらないだろ?」
「気持ちの問題です!」
まるでプーッと頬を含ませるように抗議する。
ラクスはクスクスと、まるで鈴を転がすように笑う。
その声を聞いてシンは少し頬を赤らめ俯いてしまった。多少なり恥ずかしかったらしい。
「どうぞ、皆さん」
楽屋内を見渡したラクスは男性陣を部屋内に招き入れた。
毎回ここで少しばかり反省会をするのだ。