短編小説
□雪うさぎ
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「キラ、雪が降っていますわ」
ラスクに言われ窓に目をやると、ひらりひらりと、ゆっくりと氷の粒が振っていた。
―寒いわけだ。
窓の外では降ってくる雪の量が多くなってくる。
―積もるかもしれない。
そうなると子供たちは喜ぶだろうな。
そんなことを考えながら、窓に近づいて行く。
窓枠に手をつき、外をマジマジと見ているラクスに問い掛ける。
「雪は、初めてなの?」
「はい。話には聞いていましたが、本当に真っ白ですのね…」
ほぅ…とため息をつきながらラクスは答えた。
「きっと積もるよ」
ラクスの隣に立ち、一緒に外を見る。
「こんなに小さな雪が積もりますの!?」
驚いたようにバッと隣を振り返るラクスが可愛らしくて。
普段から大人びていて落ち着いている彼女とのギャップが可笑しくて。
ついクスクスと笑ってしまう。
「積もったら子供たちと一緒に雪だるまを作ろうか?」
「雪だるま…?」
聞き慣れない単語だったのか、ラクスは小首を傾げた。