短編小説
□雪うさぎ
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「キラ、冷えましたか?」
そんな自分をラクスは心配してくれる。
心配そうに下から見上げてくる彼女は、もういつもの彼女に戻っていた。
ホッとするような残念のような。
「中に入りましょう?」
いつまでも外にいては体が冷え切ってしまう。
「あ、」
「どうしたの?」
「このまま…家に入ってしまっては、この雪うさぎさんは溶けてしまいますわね」
しゅん…と残念そうに言うラクス。
「中は暖かいからね…冷凍庫にでも入れておく?」
「そうですわね、それがいいですわ」
ラクスはルンルンと家の中に入って行き、冷凍庫の前に立った。
扉を開くと…端っこのほうにちょこっとだけ、雪うさぎの入れそうなスペースがあった。
そこにそっと溶けかけている雪うさぎを入れると、ゆっくりと、周りの物が雪うさぎに落ちてこないように慎重に閉める。
「キラ」
「何?」
「有難うございます」
ふわりを微笑む彼女を、幸せそうに見ていた。
いつまでも彼女との幸せな時間を…そして彼女が嬉しいと思える時、自分も傍にいれれたらいいのに。
そんな風に思ってしまった。
→後書