短編小説
□雪うさぎ
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「雪を丸めてだるまを作るんだよ。頭にバケツを乗せたり、手の代わりに木の枝を刺したりするんだよ」
「まぁ、楽しそうですわ♪」
ラクスはにっこりと笑った。
その笑顔はまるで子供のようだと、キラは思った。
「早く明日になるといいですわね」
再び目線を外にやり、待ち遠しいように呟く。
―そうだ、雪だるまは無理でもあれならすぐに作れる。
「ちょっと待ってて」
何かを思いついたキラは、ジャケットを羽織ると急いで外へと駆け出していった。
「キラ?」
不審に思ったラクスも後を追いかけた。
キラは玄関先でまだ少ししか積もっていない雪を掻き集め、ギュッギュッとおむすびを作るように丸めていく。
「どうなさいましたか?」
「ん、ちょっとね」
ラクスが問いかけても教えてはくれず、ニッコリと笑うだけだ。