短編小説
□優しい腕に包まれて
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「いやぁぁっ!!」
寝苦しい夜中、ステラは悪夢によって目覚めさせられた。
闇の中ステラに伸ばされる無数の腕。
いくら逃げても逃げても、伸ばされる腕は追い掛けてきた。
逃げる先々でも前から、横から、腕が伸ばされる…。四方を腕に囲まれた。腕は足を掴み、腕を掴んだ。
ステラが身動きを取れなくなると、2本の腕が首に巻き付いてきた。
ぐっと10本の指に力が入れられ、息苦しくなる。
意識が朦朧とした瞬間、目が覚めたのである。
「シン……?」
ふと、隣のベッドを覗いてみた。
いつもはいるはずのシンの姿がない。
ステラは自分のベッドを下り、シンのベッドへと近づく。
シーツは冷えきっていて、人がいなくなって大分たつことをステラに教えた。
「シン?」
きょろきょろと辺りを見渡してみてもシンの姿はなかった。